ケースコンサルテーションを提供します

 多くの人にとって、ケースコンサルテーションという言葉は聞き慣れないかもしれません。一般的には、スーパービジョン(SV : Super Vision)と言うことが多いかもしれません。スーパービジョンでもケースコンサルテーションでも、ケースの支援に関して、具体的に支援のプロセスを検討し、これから先に良い支援を提供するための方法やかかわり方を検討します。しかし、本来SV(スーパービジョン)には、監視、監督という意味があります。したがって、トレーニング中に指導者から指導を受ける場合や職場の上司から指導を受ける場合には、SVという言葉を使うことが適切な場合が多いでしょう。しかし、リソースポートで提供できるサービスは、監視でも監督でもありませんし、指導でもありません。したがって、SVと呼ぶことは適切とは言えません。そこで、事例について一緒に考えるという意味を込めてケースコンサルテーションという言葉を使っております。

 

私自身のスーパービジョン体験から

 私自身が以前に、スーパービジョンを受けたときの体験を紹介します。これもやはりケースコンサルテーションと呼ぶことが適切と思われますが、「スーパービジョン」と呼ばれていましたので、今回はそれに基づいて「スーパービジョン」という言葉を使って書かせていただきます。

 

夢の中のスーパーバイザー

 10年近く前のことになります。遠方での実施でしたが、SVへの期待も大きく受けに行くことにしました。資料を作成したりSVの準備を整えて、前日になりました。期待と不安でなかなか寝付けなかったような記憶があります。そしてその夜に夢を見ました。夢の中でも私はSVを受けていました。スーパーバイザーは、今回のSVのスーパーバイザーではなく私の尊敬する高名な臨床家のように見えました。夢の中のスーパーバイザーは、私の報告に、「このケースはまだ始まってなかったんだね。」と言ったのです。私にはその言葉が腑に落ちるようにじわっとしみこんでくるように感じられました。夢はそこまででした。

 

 ケースコンサルテーション(スーパービジョン)の働きは結局こういうことなのではないかと思います。夢の中のスーパーバイザーは、ある意味私自身です。つまり「まだ、始まっていなかったのだ」と自分自身ですでに気づいていたのです。しかし、それをはっきりと意識することができないでいました。SVを受けるということになって、色々と物理的な準備や心理的な準備をする中で、少しずつ心が動いて、気づきがはっきりとしてきたのでしょう。

 本当に役に立つSVというのは、自分自身が既に何となく感じていることを、よりしっかりと気づかせてくれるというものではないかと思います。こんなふうに皆さんのお役に立てるかどうかは分かりませんが、リソースポートでは、新しく何かを学ぶということよりも、自分自身が何となく気づいている「何か」によりはっきりと気づくことを目指していきます。

 

 

 

コラム


瞬間最高1位

今年の1月10日にほんの森出版から発行させていただいた「一瞬で良い変化を起こす10秒・30秒・3分カウンセリング―すべての教師とスクールカウンセラーのためにー」が、アマゾンのカウンセリング(学校教育)カテゴリーでなんと、1位になっていました(4月24日午前中)。その記念に画面をキャプチャしました。色んな人が本を購入してくれているんだなぁと感謝の気持ちでいっぱいです。レビューにもすごく良いレビューを書いていただいていて感激しています。

 

 

続きを読む

学校心理士の論述試験問題

学校心理士の論述試験は例年8月の始めに行われています。2017年の年初にあたって、今年の論述試験に出題されそうな問題を考えてみました。

 

なお、学校心理士の論述試験では、必須問題と選択問題の2種類の問題が出題されます。問題1は必須問題で「学校心理学」についての設問になります。問題2は選択問題で、「A(特別支援教育)」「B(生徒指導・教育相談・キャリア教育)」の2種類から選択する形式となっています。

 

考えてみた問題です。

 

必須問題(学校心理学) 

学校が直面している様々な課題の解消に向けて「チームとしての学校」が注目されている。「チームとしての学校」の中で学校心理士の果たすべき役割について記述しなさい。

 

選択問題

B(生徒指導・教育相談・キャリア教育)

我が国では近年、自殺対策が効果を上げ、自殺者数は全体では減少傾向となっている。しかし、若年層においては、高止まりの傾向が続いていると言われている。学校教育においても、自殺予防の指導や支援は重要性が増している。自殺念慮のある子どもへの支援について、学校心理学の視点から記述しなさい。

 

回答例は、また後日作成します。

また、選択問題のA(特別支援教育)の問題ですが、私は特別支援教育については問題を作成できるほど専門性が高くないのでパスさせていただきます。

 

 

 

解決志向アプローチ入門講座(龍ヶ崎市)

 平成28年12月2日(金)に龍ヶ崎市で研修会を担当しました。「平成28年度市民カウンセリング上級講座・龍の子さわやか相談員研修会合同研修会」として、龍ヶ崎市教育センターで開催されました。

 平成26年度から毎年、この時期に、研修講座を担当させていただいてきました。今回は、「解決志向アプローチ入門講座」として、解決志向アプローチの基本をお伝えしました。

 

 解決志向アプローチは問題や原因にこだわらず、良い方向(解決)へ進んでいくことについて焦点をあてているカウンセリングのアプローチ(方法論)です。ブリーフセラピー(短期療法)の一種で、「ミラクルクエスチョン」や「スケーリングクエスチョン」など、特徴的な質問方法を活用します。そして、クライエント自身が既に持っていた、より良い方向(解決)を明らかにして、クライエントとカウンセラーがそれを共有していくことを大切にします。 

 学校現場や子育ての現場では非常に役立つアプローチだと思います。特に、子どもにかかわる人には少しでも学んでいただけたら良いなぁと思っています。子どもの役人立つだけではなくて、支援が楽しく楽になるからです。

 私自身、これからも、解決志向アプローチをもっと磨いていきたいと思っております。

学校心理学ハンドブック 第2版 チーム学校の充実を目指して

学校心理学ハンドブック 第2版 チーム学校の充実を目指して 教育出版
学校心理学ハンドブック 第2版 チーム学校の充実を目指して

日本学校心理学会(編)の「学校心理学ハンドブック」の第2版教育出版社から出版されました。大幅改訂されています。私も少し書かせていただきました。

 

第1版と第2版を重ねて置いてみました。

 

学校心理士の皆さんや学校心理士を目指す人には必携の本です。

 

本体は2000円です。リーズナブルな価格設定ですね。

 

スクールカウンセラーを育てるには

 以前から思っていたのですが、どうしても、気になるので書いてみました。

 

 スクールカウンセラーが常勤化されるという見通しのようです。現実化するのは、数年以上先だと思われますが、スクールカウンセラーが今よりも必要となり、人材が足りないのではないかということがあるようです。それに伴って、スクールカウンセラーの質を確保するということも大切だと言われています。

「病院での臨床経験など学校以外での経験がない人がスクールカウンセラーになることが果たして良いのか」ということを主張する人もいます。

 

 私は、スクールカウンセラーを人数も質も確保しなくてはいけないということには賛成なのです。でも、スクールカウンセラーになるには、病院での臨床経験が必要という意見には、全く賛成できません。

スクールカウンセラー制度が始まって20年を超えましたが、20年前から同じようなことを言う人はいました。病院などで経験豊富な人がスクールカウンセラーになってくれたら、やはり良いことだと思われます。

でも、よく考えてみるとこの考え方はおかしいところがあります。

 

 別の例を使って考えてみます。例えば、「学校の先生になるには、塾講師の経験がないとダメだね」という意見はどうでしょうか? この意見を塾講師の人が言うのであれば、塾講師という仕事を学校の先生よりも高く評価していると考えれば、全体的に理解できます。しかし、この意見を学校の先生が言った場合はどうでしょうか? この言葉には塾講師の方を自分の仕事よりも高く評価しているという意味が含まれているので、こんなこという学校の先生は自分の仕事をどう評価しているのか、自分の仕事に誇りを持っているのか、疑問を感じてしまいます。

 しかし、スクールカウンセラーについては、病院での臨床経験がないとスクールカウンセラーはできないというような意見が、意外と通用しているようです。

 

 ところで、大学の学生相談の概念ですが、「療学援助」という言葉があります。精神科などの医療機関で治療を受けながら大学での学業の継続や大学への復帰を目指す学生を学生相談がサポートするという援助活動です。精神疾患を治療するのではなく、精神科的な病気を抱えながらも、大学での学業や生活をきちんとやっていけるように学生相談室がカウンセリングなどの活動を通してサポートするのです。病院でのカウンセリングとはまた違った機能や役割が求められるのです。

 

 学校でのスクールカウンセラーが常勤化されると、子どもとのカウンセリング面接以外の活動も非常に多くなると思われます。療学援助と全く同じで、様々な困難を抱えた子どもが学校で上手くやっていけるような支援を適切に行うことが必要になるのです。だから、スクールカウンセラーの活動の中で病院での経験が役に立つ部分は、本当に小さい部分でしかないというふうに予想されます。病院での経験がないとスクールカウンセラーはできないというような意見には論理的・現実的な整合性がありません。

 

 現場で必要なことは現場で学ぶことができるはずです。それをどういう仕組みで実現するのかが大切だと思います。

 

 

中高生からのライフ&セックス サバイバルガイド

中高生からのライフ&セックス サバイバルガイド

中高生からのライフ&セックスサバイバルガイド」を読んでいます。いわゆる教科書的な内容、通り一遍の内容ではないですね。大変素晴らしい本だと思います。

 

ところで、9月1日に若者の自殺が多くなるからとういうことで、中高生の心のケアや自殺予防について、マスコミでも色々と取り上げていました。正直私は大変驚いたのです。というのは、昨年の8月の終わり頃から、9月1日が自殺の多い日だと言うことが広く知られるようになって、昨年の8月の終わり頃にも、若者の自殺や自殺予防が色々と取り上げられていました。だから、「今年は余り話題にならないだろう」と何となく思っていました。自殺予防は、その直前になって、色々と一生懸命になって予防しようとするだけでは、なかなか上手くいかないことは分かっているからです。「9月1日に自殺が多くなると、1年前から分かったから、1年間を通して予防につながるように動いているはずだから、8月になってから慌てて騒がなくてもきっとOKだよね」というふうに思っていました。だから、今年も去年と同じように、9月1日を目前にして、色々と大きく取り上げられていたので、ビックリしました。

 

このような本を、一年間を通して折に触れて取り上げたりしていけば、大人が子どものことを真剣に大切にしているんだと伝わって行って、それが自殺予防にもつながるんじゃないかなと、思ったりしました。中身的にも、知っているだけで救われるような子もいるのではないかと思います。すごく苦しんでいる子が読んでも、もしかしたら、自分も生き延びていけるかもしれないという希望を持つことができかもしれません。そんなことが伝わって行くホンダと思います。中学校の図書室や保健室にはこの本を置いてもらいたいなぁと思うのです。中学生が必要としている情報と知識です。

 

こういう本を読むと、本当に、テレビや学校から見えているのは、社会や人間の表面だけだなと、痛感します。人は多様で、そこが素晴らしいのですね。

 

ということを考えていると、昔のことを思い出しました。私がスクールカウンセラーとして駆け出しの頃、20年ぐらい前ですが、その頃には、昼休みなどの休み時間に相談室を開放して、誰でも息抜きやおしゃべりに来てもOKという活動をしていました。相談室には、学校の図書室から借りたマンガや本をいくつか置いてありました。その中に、性教育関係の本を数冊置いていたのです。その本は、「ティーンのからだ・こころ・愛(アーニ出版)」という本でした。人が余りいない時を見計らうようにして、何人かの生徒がやってきては、その本を読んでいっていました。

 

中学生と高校生、そして、大学生、その保護者の方に、お勧めします。

 

病人に傷つけられるのも看病のうち

内田樹さんの本はよく読むのですが、「困難な結婚」という、この本はこれから読みます。

 

パラパラとめくってみて、目について驚愕しつつ、納得した言葉を書き留めておきます。

「病人に傷つけられるのも看病のうち」(p192)

とのことです。

 

ああ、そうだ。と深く納得してしまいました。

 

「自分が病人になったときのことを考えれば分かると思いますけれど、病人というのは「わがままを言う」「文句を言う」「生産的なことを何もしない」「みんなに迷惑をかける」ことが「できる」ことによって治癒するわけです。」

 

「できる」ことは、ブリーフセラピーで言うリソースです。

 

 

 

田嶌誠一先生の研修会

田嶌誠一「イメージ体験の心理学」と「児童福祉施設における暴力問題の理解と対応」

日本学校心理学会の主催で、九州大学名誉教授の田嶌誠一先生の研修会が開かれます。

 

 田嶌誠一先生は、「壺イメージ療法」という一見、ちょっと変わった心理療法をご自身で開発されて実践しておられました。実は、一見変わった心理療法と書きましたが、中身は心理療法らしい心理療法だと思います。講談社現代新書から「イメージ体験の心理学 (講談社現代新書)」田嶌誠一「イメージ体験の心理学」と「児童福祉施設における暴力問題の理解と対応」 という分かりやすい解説本がでておりますので、お勧めします。

 

その後、児童養護施設での施設内の暴力に関して安全委員会方式というシステム作りを推奨されています。安全委員会方式については、「児童福祉施設における暴力問題の理解と対応―続・現実に介入しつつ心に関わる」田嶌誠一「イメージ体験の心理学」と「児童福祉施設における暴力問題の理解と対応」という本で詳しく解説されています。

 

壺イメージ療法は、ミクロなレベルでの安心安全を確保するというアプローチで、安全委員会方式はマクロなレベルで安心安全を確保するというアプローチだと、捉えられます。ミクロから入ってマクロまで、安心安全を大切にしてこられた、田嶌誠一先生のお話が伺えるチャンスがあるということに、大変楽しみにしております。関東でお話しが聞けるのは、なかなかチャンスも少ないと思いますので、なおのこと、すごく楽しみな気持ちです。

 

学校心理士の人にも、学校心理士の資格取得を目指す人にも、スクールカウンセラーの人にも、学校の先生にも、本当にお勧めします。

予約や申し込みは、不要とのことです。当日に会場に行けば、3000円で参加できます。

 

日本学校心理学会のホームページ(http://schoolpsychology.jp/workshop/index.html)から、情報を転載します。

----------------------------------------------------------------

「現実に介入しつつ心に関わる―多面的体験支援アプローチ」

 

講師:九州大学名誉教授

   田嶌 誠一 先生

日時:平成28年11月3日(木・祝)13:30~16:30(受付12:30~)

場所:筑波大学 東京キャンパス文京校舎 

東京メトロ丸の内線 茗荷谷駅下車  徒歩3分

参加費:会員…1,000円,非会員…3,000円

学生参加 可 会員…1,000円,非会員…2,000円

 

 「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!――映画『踊る大捜査線』の名シーンである。それをまねて言えば,「問題は面接室の中で起きてるんじゃない!生活の中で起きてるんだ!!」と訴えたい。学校現場のニーズを「汲み取る,引き出す,応える」ためには,心理士が心の内面に関わるという姿勢だけでは極めて不十分で,「現実に介入しつつ心に関わる」という姿勢とそれに基づく多面的アプローチが重要だと私は考えています。

 

※この研修会は学校心理士資格更新の際のポイント(B種)として申請中です。

※学校心理士のポイントを希望される方は、研修会の遅刻・早退は原則認められません。

----------------------------------------------------------------

 

学校心理士大会でシンポジウムに出ます。

今年の学校心理士大会は、東京成徳大学(東京都北区十条台)の東京キャンパス(十条)で開かれます。

 

私は、1日目(12月3日)16:00~18:00の大会シンポジウム(2)

「多職種の協働による子どもへの心理教育的援助サービス

―「チーム学校」における公認心理師の活動を踏まえて―」

に話題提供者として参加します。

 

企画・司会は、山口豊一先生(跡見学園女子大学)です。

話題提供者は、田中大介先生(昭和大学)、鈴木庸裕先生(福島大学大学院)、 山口豊一先生(跡見学園女子大学)と私です。そして、指定討論者は、松嵜くみこ先生(跡見学園女子大学)です。

 

今最もホットな話題である、公認心理師とチーム学校についてのシンポジウムになりますので、もしかして人大杉になるかもしれません。

ちゃんと準備しなくては。