学校心理士の論述試験について

 学校心理士の資格認定の試験では,試験Ⅰ(論述式),試験Ⅱ(多枝選択式),試験Ⅲ(面接)によって行われます。申請する類型によってどの試験を受けるのかは変わりますが、論述式の試験はほぼ全ての類型で受ける必要があります。

 

 

論述試験の形式

学校心理士の論述試験では、必須問題と選択問題の2種類の問題に2時間で解答します。

論述試験は以下のような形式で出題されています。

 

 問題1(必須問題:学校心理学) 次の設問について、1200字以内で解答しなさい。

 問題2(選択問題)

  次の設問について、A、Bのうち、どちらかを選択し、1200字以内で解答しなさい。

  A(特別支援教育)

  B(生徒指導・教育相談・キャリア教育)

 

 

論述試験の問題例

 論述試験にどのような問題が出されるのかについては、学校心理士認定運営機構のホームページでは公開されておらず、過去問題集として発売されています。実際にどのような問題が出題されているのかについては、その問題集を購入してもらうことが必要となります。

 そのため、過去問をここで紹介することはできません。問題の傾向を知ってもらうために、こちらで作成した類題を紹介します。

 

類題

問題1(必須問題:学校心理学) 次の設問について、1200字以内で解答しなさい。

 

  • 学校で子どもの支援を行う際には、校内における連携や協力が重要である。その1つの活動がコンサルテーションである。コンサルテーションについて解説し、学校心理士がコンサルテーションを行う際の留意点について述べなさい。
  • 学校における心理教育的援助サービスは、子どもの持つ援助ニーズに応じて三段階に整理できる。具体的な活動をあげて三段階の援助サービスについて解説しなさい。

問題2(選択問題) B(生徒指導・教育相談・キャリア教育)

  • いじめ対策は、学校教育において喫緊の課題である。いじめは、どの子供にもどの学校でも起こる可能性があるため、個別の指導だけではなく学校全体を巻き込んだ支援活動、教育活動が重要であると考えられる。教育相談担当者としていじめ防止やいじめ対策を行う際に、どのような活動を行うことが必要か、学校心理学の立場から述べなさい。
  • ある学年では、「学級が上手く機能しない状態」(いわゆる学級崩壊)に至る学級が複数みられた。新年度を迎えることになったが、進級したその学年ではどのような教育活動、支援活動を行っていけば良いのか学校心理学的な視点から述べなさい。

 

類題の回答例

学校における心理教育的援助サービスは、子どもの持つ援助ニーズに応じて三段階に整理できる。具体的な活動をあげて三段階の援助サービスについて解説しなさい。(必須問題:学校心理学)

 学校における心理教育的援助サービスは、子どもの持つ援助ニーズに応じて、一次的、二次的、三次的援助サービスの三段階で捉えられる。一次的援助サービスとは、全ての児童生徒を対象とした援助サービスであり、すべての子どもが持つ援助ニーズに対応している。問題が生じることを予防したり、子どもの成長や発達を促進したりするような援助サービスである。例えば、新入生全員を対象とした学校生活のためのガイダンスがあてはまる。また、教育相談や生徒指導に関わる啓発活動を行うことも一次的援助サービスである。他にも、学級活動の時間などに構成的グループエンカウンターやソーシャルスキルトレーニングを行うことも一次的援助サービスである。どのような一次的援助サービスを実施するのかについては、学校のニーズに応じて考える必要がある。入学から卒業までを通して計画的に実施をしていくことが求められる。

 二次的援助サービスとは、学校生活の中で困難に直面し始めたり、問題に悩み始めた一部の児童生徒を対象とした援助サービスである。問題がより拡大していくことを予防し、子どもが問題状況に取り組むことを支援することで、子どもの成長を促進するような援助サービスである。例えば、学習に意欲が持てない子どもへのカウンセリングが該当する。クラスにあまりなじめていない子どもを、休み時間の雑談を通してサポートすることも一例である。また、支援を必要としている児童生徒を早期発見することも必要となる。そのため、子どもへのアンケートを実施することや日頃から子どもの様子に気を配り観察することも、二次的援助サービスの一環である。さらには、児童生徒が自分から援助サービスを活用できるような仕組み作りも不可欠である。このような二次的援助サービスを推進していく校内体制づくりも重要な活動である。

 三次的援助サービスとは、大きな援助ニーズを抱えている、特定の児童生徒を対象とした援助サービスである。問題の拡大を予防し、子どもが問題状況に取り組むことを支援することで子どもの成長を促すことができる。例えば、不登校の児童生徒への個別の支援が該当する。また、三次的援助サービスは、チーム援助で行われることが通常である。一人の支援者が抱え込んでしまわず連携して援助サービスを行うことができるように、コーディネーションの働きは大変重要である。そして、学校外の治療機関や支援機関を援助資源として活用することも必要な場合が多い。また、3次的援助サービスの実施には、専門的なアセスメントを行い、それに基づいて支援方針を共有してチーム援助を行うことが求められる。アセスメントでは、子どもとの面接による情報収集だけではなく、学校の様々な場面での観察や、かかわりのある複数の教職員からの聞き取りによる情報収集も大切である。さらには、各種の心理検査の活用も検討されるべきである。(1187文字)