ケースレポートの焦点

 学校心理士の資格申請のためのケースレポートは、申請のためのに作成するものです。そのため、焦点は自分自身が行った活動にあります。以下の例を使って考えてみます。

 

昨年度 立場:D中学校2年1組の学級担任

a 学級担任として不登校生徒Kを支援した

b スクールカウンセラーに月に1回程度状況を報告しアドバイスなどを受けた。

  スクールカウンセラーとしてのアセスメントを聞いた

  今後の支援の方向性や支援の具体策についてアドバイスを受けた

c 生徒Kが通院している精神科のDrと1度だけ会って、学校での支援についてアドバイスを受けた

 

今年度:D中学校3年の学年主任 

e   不登校生徒Kは、3年1組の学級担任Mが手厚く支援を行った

  ※自分自身は生徒Kとはほとんど関わらなかった

f 学級担任Mから生徒Kの支援について日常的に相談を受け、支援策についてアドバイスした 

g スクールカウンセラーとは月に1回、学級担任Mと一緒に状況を報告しアドバイスを受けた

h 学級担任Mのサポートについてスクールカウンセラーと1対1で学期に1度程度話し合った

 

 

 ケースレポートを書くことを考えると、昨年度の活動について書くか、今年度の活動について書くか迷うところだと思います。どのように考えて、どのことについて書いていくのかについて、説明します。

 

 昨年度の活動についてしっかりとした記録が残っている場合には、すぐに書き始めることができるため、昨年度の実践をケースレポートとしてまとめることが良いかもしれません。その場合には、自分の実践(a)を中心に、生徒Kについても事実関係を書いていくことが必要です。そして、(b)についてどのようにアセスメントが行われ、どのようにアドバイスを受けたのかを具体的にケースレポートに記述することが求められます。(b)がスーパービジョンにあたります。さらには、スーパービジョン(b)を受けてどのように自分の実践(a)に活かしたかについても記述することが大切です。(c)は精神科医からコンサルテーションを受けたということになります。これも、ケースレポートに適切に記述するべきですが、(c)はスーパービジョンではありません。

 

 今年度の活動について、ケースレポートを書く場合には、何について書くべきか迷うかもしれません。学校心理士資格申請のケースレポートの場合は、(f)を中心にレポートとして報告を行うことが必要になります。自分が学校心理士の資格申請のために作成するケースレポートは、自分自身が学校心理士として相応しい力量を備えていることを証明するためのものです。従って、(e)の担任Mが行った支援活動を中心として書かれたケースレポートは不適切です。そのケースレポートを読んでも、申請者がどんなふうに活動したかを理解することができないからです。ケースレポートの焦点は、申請者自身が行った活動です。この場合は、(f)が該当します。(f)について記述するには、担任Mと自分がいつどこでどのような話をして、自分がどのように判断して、どのように担任Mにアドバイスしたかについて具体的に記述していくことが必要です。この実践活動が、学校心理学的には、コーディネーションやコンサルテーションとして捉えられる活動となります。担任Mの支援内容(e)も重要ですが、資格申請のためのケースレポートでは焦点はそこにありませんので、必要最小限にとどめることが大切です。生徒Kの行動や状況も重要ですが、やはり焦点はそこにはありませんので、必要最小限にとどめることが大切です。この場合、スーパービジョンは(h)が該当します。(h)についても、具体的にケースレポートに記述する必要があります。さらには、それを受けてどのように自分の実践(f)に活かしたのかについても記述することが大切です。(g)は、担任Mがスクールカウンセラーからコンサルテーションを受けた、つまり、担任・学年主任(自分)・スクールカウンセラーがチーム援助を行ったということになります。これもケースレポートに適切に記述することが大切です。

 

 以上のように、学校心理士資格申請のためのケースレポートは、ケースの状態を報告するためのものでもありませんし、支援方法について研究するためのものでもありません。申請者がどのように支援活動・実践活動を行ったのかを示すものです。そういったことを踏まえて書くことが大切です。

 

 なお、昨年度の実践についてケースレポートを書く場合も、今年度の実践についてケースレポートを書く場合も、スーパーバイザーにあたるスクールカウンセラーから「スーパーバイザーの意見書」を書いてもらう必要があります。スーパービジョンを受けながら支援を行ったことを証明してもらうためです。何らかの事情でこの所見書を書いてもらえない場合には、ケースレポートを適切に書いたとしても、書類が足りなくなってしまうため、申請には通らないと思われます。スーパーバイザーには、意見書を書いてもらうことについて事前に承諾を得ておく必要があります。実際上、学校心理士を取得しようと考え始めた段階でまず考えることは、スーパーバイザーをどうやって探すかということです。