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信じるということ

芦田愛菜さんの言葉が非常に深いということで、話題になっています。

 

映画『星の子』(10月9日公開)の完成報告イベントが3日に都内で行われて、その際に作品のテーマに関連して「信じる」ということについて質問されたときに話したことだそうです。

 

芦田愛菜さんは次のように言ったそうです。

「『その人のことを信じようと思います』という言葉をけっこう使うと思うんですけど、どういう意味なんだろうと考えた時に、"その人自身"を信じてるのではなくて、自分が理想とする"その人の像"に期待してしまうことかなと感じて・・・。」

「『裏切られた』『期待してたのに』と言うことがあるけど、それはその人が裏切ったわけではなくて、見えなかった部分が見えただけであって、『それもその人なんだ』と受け止められる、揺るがない自分がいることが、信じられることなのかなと思ったんです。」

「でも、揺るがない自分の軸を持つのは、難しいじゃないですか。不安な自分がいるからこそ、人は『信じる』と口に出して、成功した自分だったり、理想の人物像にすがりたいんじゃないかなって思いました。」

 

その時の記事は以下のリンク先からどうぞ。

この言葉を見て、素晴らしいなぁ、深いなぁと思いました。

 

その時にふと、『グインサーガ』(著:栗本薫)の主人公グインの言葉を思い出しました。

 

 

「ときには俺は敵をも信じる。敵の知性を信じられるときにはそれを信じる。敵の計算づくを信じられるときにはそれを信じる。信じるというのは、なにも何から何まで相手がおのれに都合よくしかふるまわないだろうと考えることではない、それは信頼ではなくておのれの傲慢というものだ。信じるというのは、おのれの相手を見る目の正しさをたのむことだ。その目が正しければ、俺はなにも失望せずにすむ。 -俺はいまだかつて、なにものかに失望させられたことはないと思っている。」(栗本薫著 グイン・サーガ第83巻「嵐の獅子たち」p46~47より)

 

グインというのは、栗本薫という素晴らしい知性が生み出したヒーローで、素晴らしい人格と知性と体力・戦闘力を持った豹頭のキャラクターです。

 

芦田愛菜さんが、グインと本質的に同じことを言っているのが、畏るべしと改めて思いました。グインの言葉は、非常にタフで強いのですが、芦田愛菜さんは、少し違います。自分の中に生じてくる「不安」に言及していて、その不安を持つ自分も受け止めていて、その分しなやかな印象が強いです。