登校渋りというのは、学校へ行きたがらなくて、朝、起きてからぐずぐずしていて、なかなか学校へ足が向かない状態を言います。
登校しぶりの状態なることは、一時的な場合を含めると、よくあることだと思います。
登校しぶりのお子様がいらっしゃるご家庭では、お子様を朝起こすことにご苦労されていることが多いかもしれません。
朝きちんと起きられることは、学校へ行くためだけではなく、お子様の健康を保つために極めて大切なことです。
できるだけ昼夜逆転しないように、生活リズムを保っていくようにしたいものです。
この記事では以下の内容について解説しています。
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ここ数年の事ですが、睡眠の重要性が強調されるようになってきました。
睡眠不足が、情緒不安定につながったり、記憶力や集中力の低下につながったり、
さらには認知症のリスクが高まるということが、
研究によって明らかになってきました。
小学生や中学生のお子様にとっても、睡眠は極めて重要なのです。
中学生でも、9時間の睡眠が必要と言われています。
しかし、多くの子どもたちは、もっと短い睡眠時間になっているようです。
そのことが、子どもたちの心の不安定さにつながっているように思われます。
例えば、授業中に落ち着きがなく離席が多い子どもの場合、
睡眠の改善を通して授業中の落ち着きが増したということは、よくあります。
私たちも、いくつもの事例で、睡眠を改善するだけで、
気持ちや行動が安定してくることに出会ってきました。
不登校や登校しぶりのお子様の場合も、
睡眠の質と量を保つことは大変重要だと考えられます。
朝起きられないという場合には、
まず、睡眠の質と量が十分かどうかチェックしてみることをお勧めします。
朝起きられない、ということが、
【睡眠が十分なのに朝起きられない】という質の問題か、
【夜遅くまで起きているために朝起きられない】という量の問題かを
分けて考えることが大切です。
夜遅くまで起きているとしたら、睡眠の量の問題があります。
相の場合、朝起きられないのは、ごく自然なことですので、
まずは、夜早く寝られるようにすることが大切です。
早く寝られるように、夕方からの活動内容や活動時間を見直してみることが第一歩です。
睡眠の量の問題を解決できるように、夜に早めに寝ようとしても、
なかかな、寝るまでに時間がかかってしまうとか、
寝るように言ってもなかなか寝ようとしないなどという場合があります。
寝ないからと言って、厳しくしかったりすると、
心が緊張したり不安でいっぱいになったりして、かえって寝付けなくなってしまいます。
また、寝る直前までゲームをすることも、
脳が興奮して、寝付けなくなってしまう原因になります。
早めにゲームをやめることも大切なことです。
ゲームではなく、
家族でのんびりおしゃべりをしているうちに眠くなるというのは、
一つの理想的な流れです。
自然とリラックスして眠たくなってきます。
夜に早めに寝られるようにするためには、
寝る前に心がリラックスすることが必要です。
十分にリラックスしてから眠れるようになると睡眠の質も高まります。
また、体の緊張は、心(脳)の緊張・興奮と関連していますので、
体がリラックスできるようにすることも一つの方法です。
思春期以降であれば、ストレッチをすることは、良い睡眠にプラスになります。
思春期以前の場合は、マッサージをしてあげるのはお子様も喜ぶと思います。
安心できて自然と睡眠の質が高まります。
登校しぶりや不登校の状況になっている場合、
朝起きたら、学校へ行かなくてはならない、という気持ちがあって、
なかなか起きてこられないことがあります。
その場合、睡眠の量の問題でも、質の問題でもありません。
朝起きることが、登校することとつながっているからです。
例えば「早く起きないと学校に遅れるよ」という働きかけは、
朝起きることと登校をつなげています。
登校しぶりや不登校のお子様の場合、こういった働きかけを続けていると、
「朝起きたら学校へ行かなくてはならない」とお子様が捉えてしまいます。
そうすると、学校へ行く・行かないという状況を避けるために、
朝なかなか起きてこなくなります。
目が覚めていても、なかなか起き上がってこない、声をかけても反応がない、
といったことが生じがちです。
そうすると、睡眠のリズムが崩れてしまい、余計に朝起きられなくなり、
さらに、学校へ行きづらくなる、さらに、朝起きられなくなる、
という悪循環に陥ってしまいます。
こういった事態を避けるためには、
朝起きることと登校を切り離すようにすることをお勧めします。
まずは、朝起きて、睡眠のリズムを保ち、睡眠の量と質を保つことが大切なのです。
「学校へ行くか行かないかと関係なく朝は起きるようにする」、
「学校へは行かなくてもかまわないから朝は起きるようにする」、ということです。
お子様には、「学校へ行く・行かないと関係なく朝は起きてきなさい」と説明をしたり、
「学校へ行かなくても良いから朝は起きてきなさい」と声をかけることが大切です。
長い目で見ていくと、睡眠のリズムを整えて、睡眠の量と質を保つことは、
心の安定につながるため、学校へ行くことにつながっています。
なかなか起きられないときには、ただ「起きなさい」と何度も声をかけたり、
厳しくしかったりするのは、早起きにはつながらないので、お勧めしません。
「7時までに起きてきたら、トーストが焼きたてだよ、りんごジャム塗る?」
などと働きかけるのがお勧めです。
時間を区切って働きかけて、それまでに自分から行動を起こすと、
次に何ができるかを具体的に伝えるという方法です。
「・・・したら、~できるよ」というパターンで伝えます。
自分から動き出しやすくなるきっかけを与えて、自分から動き出すのを待つという姿勢です。
また、「8時までに準備ができたら、校門まで車で送っていけるよ」
などという働きかけも1つの方法だと思います。
>>>詳しくは「中学生の不登校では、カウンセリングは本人?保護者?」へ
不登校の子どもたちは、学校へ行きたい気持ちと学校へ行きたくない気持ちで、心が揺れています。この2つの気持ちが、言葉と行動に表れてきます。学校へ行きたいと言葉で言っても、行動では学校へ行けないということも起こりがちです。言葉と行動から不登校をどう捉えるのかについて解説しました。
>>>詳しくは「そもそも不登校はどう捉えたら良いか」へ
小学校の新入生の子どもたちが、登校しぶりになることがあります。分離不安などと言われがちですが、子どもたちが新しい環境に適応するときの苦労が、登校しぶりとなって現れていると思います。小学校新入生の登校しぶりをどう乗り切っていくかについて書きました。
>>>詳しくは「小学校新入生の登校しぶり」