支援のアプローチ(理論や方法)

 私がカウンセリングやコンサルテーションを行うときに活用している理論や方法は、主に以下の4種類になります。それぞれ、私にとって大切なアプローチです。

 

解決志向アプローチ(ソリューションフォーカスアプローチ)

 私が最も大切にしているアプローチは、「解決志向アプローチ(ソリューションフォーカスアプローチ)」です。相談に来た方こそが、自分自身の人生の専門家であり、自分自身の中に素晴らしい資質(リソース)を持っているという考えを基本にしているアプローチです。専門家(カウンセラー)は、相談に来た方と一緒にリソースを発見して、それを活用していくことを一緒に考えていきます。このアプローチでは、解決の方向を専門家が決めるようなことはありません。相談に来た方自身が望む方向を一緒に探し、その方向へ進んでいくことを最も大切にしています。このアプローチでの支援は、いつも、カウンセラーにとってもクライエントにとっても楽しい気持ちになることが多いようです。

 解決志向アプローチについては、黒沢幸子先生の主催するKIDSのワークショップや研修会で沢山のことを学ばせていただきました。そのご縁があって、黒沢幸子先生(編著)の「ワークシートでブリーフセラピー-学校ですぐ使える解決志向&外在化の発想と技法 」という本を分担で書かせていただきました。この本は、様々なワークシートが収録されているCD-ROMつきで、現場ですぐに活用できます。

 

認知行動療法

 認知行動療法は、様々な症状や不適切な行動をより良く変化させていくことに大きな力を発揮します。物事の捉え方や考え方(認知)を変化させることによって症状の軽減を図ったり、条件付けなどの学習理論を活用して症状や行動を改善していくことを目指すアプローチです。臨床心理士などのカウンセラーにとっては必須の理論・技法です。私も、様々な研修会などで基本的な考え方や技法を身につけてきました。基本的な考え方や技法を活用して、支援を行っています。

 

来談者中心療法

 来談者中心療法は、受容と共感、そして自己一致という3つの態度を重要視するアプローチです。カウンセラーにとって最も基本となるアプローチです。全てのカウンセラーにとって大切なアプローチと言っても過言ではありません。

 私は、10年以上の間、いのちの電話の相談員の研修を担当して参りました。いのちの電話での相談活動は傾聴を基本としていて、このアプローチを高い水準で実践することを目指しています。私は、その研修を行っていく中で沢山のことを学ばせていただきました。それに伴って、自分自身のカウンセラーとしての話の聴き方も、少しずつ深まってきたと感じています。来談者中心療法の目指すところは、非常に奥が深く、一朝一夕に到達できるものではありません。私自身も、このアプローチの目指すところを大切にしながら、相談に来られた方のお話を丁寧に聴いていこうと、日々努力しております。

 

 

学校心理学に基づくアプローチ

 学校心理学とは、学校における子どもの心理面や学習面などへの支援を統合的に行う実践を支える学問体系です。スクールカウンセラーや教師が連携・協力し、チームとして子どもを支援していきます。子どもの良いところを伸ばし、学校という場で成長していくことを大切にしています。

 日本では、石隈利紀先生(東京成徳大学)が第一人者です。私は、筑波大学の大学院時代から石隈先生に色々とお世話になりました。一緒に研究や活動をする中で、学校心理学について石隈先生とも色々と議論を交わし深く学んできました。私自身にとって、最も専門とする学問領域です。

 余談ですが、石隈利紀先生は「学校心理学―教師・スクールカウンセラー・保護者のチームによる心理教育的援助サービス 」という本を1999年に書かれています。発行から20年近く経過しましたが、今読んでもこの本には非常に意味の深いことが書かれていると感じます。実は、その本の中で、私の事が少しだけ紹介されているのです。