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登校しぶりの対応 「学校へ行きなさい」と言ってはいけない

 この記事では、登校しぶりの子どもへの声かけについて、解説します。学校へ行こうとしているのに玄関で固まってしまうなど、登校しぶりの状況にある子どもに、どんなふうに声をかけてあげたら良いか、大変迷うことだと思います。言ってはいけない言葉や、言うと逆効果になる言葉もあります。その1つが、「学校へ行くよ」「学校へ行きなさい」というような学校へ行くように直鉄的に促す言葉です。学校の具体的なことをイメージさせる声かけで、子どもの気持ちが動きやすくなります。

 

この記事の内容


「学校へ行きなさい」は、登校しぶりの場合は逆効果

「学校へ行くよ」「学校行きなさい」という言葉は、大人としてごく当たり前の言葉です。この言葉を言ってはいけないとしたら、親は困ってしまうかもしれません。言ってはいけない理由は、言っても効果がないか、かえって、学校へ行きづらくなって逆効果になるからです。

 

 「学校へ行きなさい」という言葉は、「学校」をイメージさせます。子どもは、学校へ行きづらくて苦しんでいるわけですから、「学校へ行かないといけない」と思った場合に、その苦しさが大きくなってしまいます。登校しぶりの状況にあるわけですから、「学校」という投げかけで子どもの頭の中に思い浮かぶことは、イヤな状況や困った状況が大半になると思われます。そうすると、気持ちまで、苦しくなったりつらくなったりします。

  

 つまり、親は学校へ行かせようと思って、「学校へ行くよ」と子どもに声をかけているわけですが、かえって、学校へ行きづらい状況を作り上げてしまっています。そして、苦しくなった子どもを無理矢理つれていくのは、わざわざ大変な状況を設定して、それを力ずくで乗り越えていくという方法です。親も子もつらくなるのが当然です。「学校へ行く」「学校へ行かない」という苦しい状況を上手く避けて、学校へ行けるように言葉かけを行っていくことが大切なポイントです。

 

学校についてプラスの事が思い浮かぶように

 学校に行った先、または、行った後の事が、子どもの頭の中に具体的に思い浮かぶような投げかけをすることが大切です。「行く・行かない」は頭の中ではスルーさせてしまい、子どもの頭の中に、プラスのことが具体的に思い浮かぶような、言葉かけをすることが大切です。

 

 例えば、子どもが生き物好きで、色々な動物への興味や関心が高くて、たまたま、教室でも金魚を飼っている場合を考えてみます。その場合には、「学校へ行こう」と働きかけるのではなく、「金魚は元気かな?」などと働きかけることがお勧めです。そうすると、子どもの頭の中にも「金魚どうしてるかな?」と金魚のイメージがわいてきます。金魚のことを考えながら、学校へ「行く・行かない」は考えずにいられたら、苦しさやつらさを上手に避けて学校へ行くことができると思います。

 

子どもにとってのかけがえのない存在

 この言葉かけは、単純ですが、上手くいくためには、細かい工夫も大切です。上では、「金魚」としましたが、金魚ではなくその金魚の名前を呼んだ方が良いです。金魚に名前が付いていない場合は、子どもと親だけが呼ぶ名前を2人だけの中で勝手に付けてしまって良いと思います。金魚に名前をつけて親子2人だけでその名前を呼ぶことは、金魚への心の距離をぐっと縮めます。ただのクラスの金魚から、「私の大切な金魚」という存在に変わるでしょう。さらには、「私のかけがえのない存在」に変わっていくことが期待できます。そのかけがえのない存在のことを思い出して、学校へ向かうことは子どもにとって楽しいことです。大げさかもしれませんが、そういう「私のかけがえのない存在」を学校の中に持てることは、本当に幸せなことです。「学校へ行く」とか「学校へ行かない」とかいうことではなく、学校が子どもの人生の中で大きな意味を持つことになってきます。

 

 楽しく学校へ通っている子どもたちは、「私のかけがえのない存在」を学校の中に持っているのだろうと思います。それは、大げさなものではありません。友だちとのちょっとしたおしゃべりの時間だったり、先生にいたずらを仕掛けることだったり、給食でおかわりを食べることだったり、色々です。例えば、「今日学校へ行ったら、先生にどんなふうににいたずらしちゃおうかな・・・」と空想しながら通学路を学校へ向かうことが、ある子どもにとっては、毎日の幸せな登校シーンになっていることもあるのです。

 

まとめ

「行く」「行かない」を考えさせるような投げかけではなく、「〇〇ちゃん(クラスの金魚の名前)は、今日は元気かな?」と具体的なイメージが思い浮かぶような投げかけが子どもにとってプラスになります。

  

 いつでもどんな子どもでも金魚のことを話題に出せば学校へ行けるようになるという単純な話ではありません。子どもにどんなイメージが思い浮かぶような投げかけを行う事が良いかは、子どもひとり一人の状況や好きな物、学校の状況などによって様々です。

 先生に協力してもらったりしながら、子どもに投げかけるものを作っていく(育てていく)場合もあります。

  


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