更新:2021年6月14日
この記事では、「学校へ行きたくない」と子どもが言ってきたときにどんなふうに応えれば良いかを解説します。
ある日突然「学校へ行きたくない」と言われたら、親も驚きますし不安になると思います。親の驚きや不安は自然な反応なのですが、子どもに親の驚きや不安をぶつけてもプラスになりません。子どもを「認める」「ほめる」という肯定的な関わりが大切です。「認めること」「ほめること」で子どもの心を支えて、子どもの心の成長を促すことができます。
この記事にはこんな内容を書いています。
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2021年6月13日放送のNHKスペシャル「若者たちに死を選ばせない」という番組で紹介されていたのですが、「学校行きたくない」という検索ワードは、自殺増加と関連があると分かりました。つまり、「学校行きたくない」という子どもたちの言葉は、子どものSOSだと捉える必要があります。
学校へ行くか行かないかではなく、子どもの心に寄り添った対応が必要です。
小学生の不登校の児童は少しずつ増加していて、平成30年度では0.70%でした。また、中学生の不登校の生徒も増加していて、平成30年度では3.65%でした。(出典:平成30年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」)
実は、この数字は現場の実感よりも少ないと思います。例えば、小学校でも中学校でも、保健室登校の子どもたちが珍しくありません。毎朝保健室に登校してきて、給食の前に家に帰っている子どもは、欠席としてはカウントされません。欠席した日数が30日という基準があるので、そういった子どもたちは、不登校としてカウントされない場合が多いのです。
また、文部科学省も不登校については、「どの児童生徒にも起こり得ることとして捉える必要がある」「不登校とは,多様な要因・背景により,結果として不登校状態になっているということであり,その行為を「問題行動」と判断してはならない。」と言っています。(出典 不登校児童生徒への支援の在り方について)
こういったことを考えても、どの子どもも不登校になる可能性があると考えることが良いと思います。ある日突然「学校へ行きたくない」と言われてから考えるのではなくて、どんなふうに対応したら良いのかを少し考えてみることが、子どもにとってもプラスになると思います。
「『学校行きたくない』なんて言わないで頑張りなさい」
学校へ行くということは、ある意味当然のことですし、ほとんどの子どもたちが学校には休まずに通っています。そのため、「学校へ行きたくない」ということは特別なことです。また、もし学校へ行かないでいると、勉強が遅れてしまうとか、人との関わる力が育たないとか、色々と心配な気持ちが生じることだと思います。親としては頑張ってほしい気持ちは自然です。
子どもの立場として考えると、「学校へ行きたくない」と親に言うことは、勇気のいることだと思います。勇気を出して言ったことが、「言ってはいけない」と否定されてしまうと自分自身を全否定されたような気持ちになってしまいます。
親としては、自然な気持ちが表れた言葉ですが、子どもを追い詰めてしまう可能性が非常に高いのでお勧めできない返答だと言えます。
ある日、子どもが「学校へ行きたくない」と言い出すわけですから、親としてはその理由を知りたいと思うのは当然です。しかし、一般的に「どうして~しないの?」という疑問文には、相手を非難するニュアンスが含まれています。親としては子どもを非難する気持ちは全くなくて、単純に原因や理由を知りたいと思って「どうして行きたくないの?」と質問した場合でも、子どもは、非難されたと感じてしまう危険性があります。原因を解決して、子どもを助けてあげたいという親の気持ちが上手く伝わらないのです。そのため、「どうして行きたくないの?」と質問することはお勧めしません。
「学校へ行きたくない」と子どもが言ってきた時に、一番大切なことは、「学校へ行きたくない」と言えたことを、ほめることです。「『学校へ行きたくない』ってきちんと教えてくれてありがとう」とか「『学校へ行きたくない』って言いにくいことがきちんと言えたのはすごいよ」などと、言えたことをほめるような言葉かけをすることが大切です。
「学校へ行きたくない」などという否定的なことを言葉で表現することは、大人でも子どもでも難しいことです。現代社会では自分では解決できない問題が降りかかってくるリスクに全ての大人も子どもも直面しています。困ったことや問題が起きたときに、身近な大人に助けを求めることが、現代社会を生き抜く最も大切なスキルなのです。だからこそ、「学校へ行きたくない」と言えたことを積極的に認めてほめることが大切なのです。
「学校へ行きたくない」という気持ちは、今日だけ突然に生じてきた気持ちではありません。少しずつ大きくなって耐えきれなくなって「学校へ行きたくない」という言葉として表れてきたと考えるのが自然です。今日だけ「学校へ行きたくない」わけではないのです。毎日、ずっと「学校へ行きたくない」と想いながら過ごしてきた可能性が高いのです。
だからこそ、今までそういう気持ちを抱えながら頑張ってきたことを認める言葉を返すことが大切なのです。例えば、「今まで頑張ってきたんだね」とか「行きたくないけど、ずっと我慢してきたんだね」などと言葉を返してみることがひとつの方法です。今は、子どもは頑張れないのかもしれませんが、頑張ってきたことを認めてもらえるというのは、次の頑張りたい気持ちにつながってきます。「頑張りなさい」と声をかけた場合よりも、頑張ろうとする気持ちが自然にわいてくると考えられます。
ある日突然「学校へ行きたくない」と言われる可能性があるのですが、その場合、「『学校行きたくない』なんて言わないで頑張りなさい」と返したり「どうして行きたくないの?」と質問したりすることは、お勧めできません。子どもを追い詰めてしまう危険性があるからです。「『学校へ行きたくない』ってきちんと教えてくれてありがとう」とか「『学校へ行きたくない』って言いにくいことがきちんと言えたのはすごいよ」などと言えたことを認めたりほめたりすることが大切です。また、「今まで頑張ってきたんだね」とか「行きたくないけど、ずっと我慢してきたんだね」などと今までの頑張りを認める事も大切です。
解決志向アプローチは、問題やできないことに焦点を当てるのではなくて、子どもの中に眠っているゴールに焦点を当てることに特徴があります。その考え方は、ご家庭での会話や保護者様の声かけに活かすことができます。何が問題か?、どうするべきか?、よりも、どうなりたいか?、どうしたいか?を大切にします。
>>>詳しくは「不登校の子どもと解決志向アプローチで会話!」へ
不登校や登校しぶりのお子様の保護者様は、お子様にカウンセリングを受けさせたいと思われる場合も多いと思います。しかし、実際上、お子様本人が進んでカウンセリングを受けることはなかなか難しいかもしれません。そういった場合は、まずは保護者様がカウンセリングを利用したほうが良いと思います。
>>>詳しくは「中学生の不登校では、カウンセリングは本人?保護者?」へ
朝の忙しいときに、お子様の登校しぶりがあると、保護者様としては本当に大変だと思います。気持ちがいっぱいいっぱいになって、思わず強い調子で学校へ行くように叱ったりすることもあると思います。それは大変自然なことなのですが、「学校へ行きなさい」という言い方は逆効果となりがちです。
>>>詳しくは「登校しぶりの対応 「学校へ行きなさい」と言ってはいけない」へ
私たちリソースポートには、たくさんの不登校の子どもたちを支援してきたノウハウがあります。各ご家庭の状況やお考えに合わせて一緒に考えていきます。そして、具体的な方法をご提案させていただきます。
詳しくは、「不登校のカウンセリング」をご覧ください。
不登校や登校しぶりでお悩みの保護者様は、
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