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小学校新入生の登校しぶり

 小学校への新入学のあと少し時間がたってから、お子様が学校へ行きづらい様子を示したり、学校へ行く時間になると泣いてしまって家から出られなくなったりすることがあります。学校へ着くまではつらそうにしていても、クラスへ入れば元気に楽しそうに過ごしていることが多い印象です。

 

 学校に相談すると「学校では元気ですから、休み癖がつくといけないので、頑張って学校まで連れてきてください」などと言われることがほとんどだと思います。

 

 朝の忙しい時間に、お子様がぐずってなかなか動き出さないという状況は、保護者様にとって、本当に大変な状況だと思います。じっくりお子様に関わっている時間のゆとりはなく、急かしたり、叱ったり、言い聞かせたりしながら、なんとか登校させるということが続きがちです。

 

 こういった状況は、一般的には、「登校しぶり」と呼ばれています。新入生に限ったことではなく、上級生の子どもでも同じ状況に陥ることがあります。新入生の場合が一番典型的な状態だと考えられますので、新入生の場合を基に考えていきます。

 

この記事には次のような内容を書いています。

 ・登校しぶりをどんなふうに理解するか?

 ・学校での様子を見守ってもらう

 ・学校から帰ったときのかかわり方

 ・睡眠をしっかりとって心理的な疲れを解消する

 ・夜寝るときのリラックスが大切

泣きそうになっている子ども(女の子)

登校しぶりをどんなふうに理解するか

 新入生の場合、学校は初めての新しい環境です。そして、担任の先生も初めて会う人です。また、たくさんの同級生たちも初めて出会う人です。多くの慣れない人たちとのかかわりが毎日続くのです。非常に多くの新しい刺激、慣れない刺激に毎日さらされるのです。

 

 ところで、学校は新入生を歓迎していて、学校を楽しんでもらえるように、色々と工夫しています。それが、かえって子どもによっては、刺激が多すぎることにもつながります。

 つまり、新入生にとって学校は楽しいのですが、非常に刺激が多すぎて心理的な負担が大きい環境なのです。心理的な負担は心理的な疲れにつながってきます。学校は楽しい場所なのですが、疲れる場所なのです

 

 よく考えてみると、楽しく過ごしていても疲れるものです。新入生は、『楽しい反面、心理的に疲れる』といったことを言葉で表現して訴えることがまだまだ難しいため、知らず知らずのうちに心理的な疲れがたまってしまいがちです。


ところで、登校しぶりの背景として、【母子分離不安】、【集団生活の苦手さ】、【エネルギーの低下】の3つがあると言われています。そして、基本的な対応としては、【子どもの話をじっくり聞く】、【子どもが安心できる環境づくり】、【信頼できる相談先を見つける】という3つが挙げられます。

参考サイト

 「学校に行きたくない」小学校入学後、登校渋りになってしまった子どもへの対処法3選|すくかうぶろぐ

 

 

学校での様子を見守ってもらう

 では、どうすれば良いでしょうか? まずは学校で様子を注意深く見守っていただくことが大切です。楽しそうに友達と遊んでいる様子が見受けられることが多いと思います。重要な見守りポイントは、そういった時の様子ではなく、給食をちゃんと食べられているかどうかです。楽しく過ごしていても、心理的な緊張状態が続いている場合があります。その場合は、脳が活動モードのまま給食の時間になりますので、あまり食欲がわきません。給食を食べる量がご家庭での食事量と比べて少ない場合には、学校での緊張が過剰になっていると考えられます。

 

 また、トイレに行っているかどうかも分かりやすいポイントです。やはり緊張状態では、トイレの回数が多くなったり、逆にトイレに全く行っていなかったりすることがあります。登校しぶりが続くような場合は、トイレを使っているかどうかも確認してみても良いと思います。

 

 食欲や排泄という生理現象は、心理的な緊張をダイレクトに反映しますので、注目しつつ見守っていただくことが大切だと思います。生理現象について気になるサインが出ている場合には、学校での刺激を少なくしたり、クラスでリラックスできる工夫を考えてもらうことも大切だと思います。

 

学校から帰ったときのかかわり方

 学校から帰った時には、多くの保護者様は「学校どうだった?」などと聞いてみて、「学校楽しかったね」などと、学校が楽しい場であるということを強調してお子様にかかわるのではないかと思います。

 

 上で書いたように、学校は楽しくても疲れる場所ですので、その疲れをしっかりと受け止めてあげることが大切です。顔を見て「疲れたね」と声を掛けてあげることが、大切です。ハグをしたり抱っこしてあげたりして、安心してリラックスできるようにかかわってあげることが大切です。小さな子どもにとっては、保護者との身体接触や皮膚接触は最も安心やリラックスにつながる刺激です。積極的にスキンシップをとって、学校での心理的な緊張や疲れを和らげていくことが大切です。

 

 もし、お子様がお話しが上手な場合には、学校のお話をたくさん聞いてあげるのが良いと思います。その時には、マイナスの感情(不安、緊張、怒り、寂しさ)が言葉として表現できるように促してあげることが大切です。

 

 上で書いたように、学校は楽しくても疲れる場所です。心理的な疲れの元になる、不安や緊張などのマイナスの感情をを言葉として表現することは、そのマイナスの感情を整理していくことになります。お子様の話から保護者様が積極的に「それはドキドキしたね」「その時は、心配になったね」「そういうのは腹が立つね」などと感情を言葉として言ってあげてください。それと同時に、スキンシップをとってあげると、親にサポートされる安心感の中で、マイナスの感情が小さくなっていくという体験になります。

 

睡眠をしっかりとって心理的な疲れを解消する

 登校しぶりの状況の時には、睡眠をしっかりとることが極めて大切です。翌朝まで、心理的な疲れが持ち越されていると、学校へ行く元気がわかず、ぐずったり、動けなくなったりしがちです。

 

 睡眠は、体の疲れをとるだけではなく、心理的な疲れをとります。早めに寝られるように、帰ってからの時間の使い方を工夫することが大切です。少しでも早く寝させようとして、短時間にあれもこれもやらせようとすると、脳がかえって興奮してしまって、眠りが浅くなりがちです。

 

 そのため、夕方からゲームやテレビなどを最小限にして、寝るまでの活動を穏やかなものにすることが重要です。活動を穏やかにすることによって、脳の活動も穏やかになっていきます。それに伴って、眠りも深くなります。

 

夜寝るときのリラックスが大切

 熟睡するためには、リラックスして眠りにつくことが大切です。お子様が眠るまでそばについていてあげて、安心して眠れるようにしてあげるとリラックスして眠りに入ることができます。また、睡眠の質が保てるように、音や光などの刺激が大きすぎないように配慮してあげることも大切です。

 

 もし、夜中に起き出すとか夜中の寝言が激しいなどということがある場合には眠りが浅くなっていますので、睡眠の質を高めるための工夫が何よりも大切になります。帰ってからの時間の使い方を細かく見直してみることと、寝る前にリラックスできるように工夫してみることが重要です。

 

まとめ

 新入生の登校しぶりは、心理的な疲れがたまっている場合が多いと思われます。心理的な疲れをとるには、マイナスの感情を言葉で表現できるように促してあげること、積極的にスキンシップを図ること、睡眠をしっかりとることが重要です。


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