研修の概要
-
スクールカウンセラーを対象に、オンラインでロールプレイ研修を実施。
-
守秘義務や実務上の制約から、他者のカウンセリングを直接見たりフィードバックを受ける機会が少ないため、ロールプレイは実践力を高める有効な方法。
-
今回は「リレーロールプレイ」を導入。相談者役1名に対し、3名のカウンセラー役が順番に面接を担当。
-
役割を分担することで負担が軽減され、集中しやすく、観察者も複数のやり取りを学べる利点がある。
参加者の評価
-
安心して参加できた:平均4.45/5
-
学びがあった:平均4.82/5
-
現場で役立ちそう:平均4.91/5
-
聞き手役を希望する意欲も高く、多くが前向きな回答。
感想の傾向
-
他のカウンセラーのやり取りを見られるのが貴重で参考になった。
-
温かい態度や丁寧な聴き方から学びが多かった。
-
面接の流れや言葉選びの工夫を意識できた。
-
多様な視点や気づきを共有できる場が有意義だった。
-
今後も継続的に実施を望む声が多い。

先日、スクールカウンセラーを対象にした実践的なロールプレイ研修会をオンラインで行いました。
カウンセリングは、クライエントと1対1で行われることが多いため、自分のカウンセリングを振り返ることは難しいものです。また、カウンセリングの内容については守秘義務もあるため、実際のカウンセリングを他者に見てもらって、指導やアドバイスを受けることも困難です。やはり守秘義務の関係上、録音や録画してそれを誰かに見てもらって指導を受けることも難しいと言えます。
また、スクールカウンセラー(SC)として仕事を続けていても、他のSCの仕事に触れることはなかなか難しいものです。特に他のSCのカウンセリングの様子を見ることは、ほぼ全くありません。他のカウンセラーがロールプレイをすることを見るのも、そこから学べる良い機会になると思います。
こういったことから、カウンセリングを実践する力をつけるには、ロールプレイ(模擬面接)を通して学ぶことが良い方法です。
今回は、話し手(相談者役)1名に対して、聴き手(スクールカウンセラー役)を3名として、その3名が順番にお話を聞くという設定(リレーロールプレイ)で行いました。
リレーロールプレイの利点は、通常よりも多くの人(4名)がロールプレイに参加できることです。聴き手を分担していますので、負担が少ないです。通常の面接では、相手の話を聞いたうえで、質問を考えたり、相手の気持ちに応えたり、この後の進め方を考えたり、頭の中で同時にたくさんのことを考えながら話を聞いています。しかし、前半・中盤・後半と3人で聴き手を担当することで、同時に行わなければならないことが少なくなります。例えば、最初の聴き手は、この後のことはあまり考えなくて済みます。そして、相手が今話していることに集中しやすくなります。2番目の聴き手は、最初の聴き手の受け答えを見ながらこの後の展開について考えることができますが、自分が今相手とどんなやり取りをすればよいかを考える必要がありません。3番目の聴き手も同じです。こんなふうに負担が減るのです。また、担当している時間も短くなるため、しっかりと覚えておくことができます。
さらには、観察者にとっても利点があります。1回のロールプレイで3名のカウンセリングの様子に触れることができるので、色々なことを感じ取るきっかけになると思われます。
今後リレーロールプレイでの研修を開催していきたいと思います。
いただいた感想
研修会には安心して参加できましたか? 平均4.45(5点満点)
研修会では学びがありましたか? 平均4.82(5点満点)
研修会の内容は現場で役立ちそうですか? 平均4.91(5点満点)
同様の形式での研修会で自分も聞き手(SC役)として参加したいと思いますか?
(聞き手は担当したくない:1点~聞き手を担当したい:5点)
1点:0人
2点:0人
3点:4人
4点:4人
5点:3人
同様の形式での研修会で自分も話し手(クライエント役)として参加したいと思いますか?
(話し手は担当したくない:1点~話し手を担当したい:5点)
1点:0人
2点:0人
3点:5人
4点:4人
5点:2人
参加した皆さんには、現場で役立つような良い学びになったと評価していただけたようで安心しました。また参加者の多くの方に、話し手や聴き手として参加したいと思っていただけたのは、良かったと思います。
いただいた感想のうち、許可が得られているものを紹介します。
本日はありがとうございました。本の中で書かれていることが実際にロールプレイで聞けて、子どもの反応等を肯定的に捉え、それを言葉で伝える場面を見ることができて勉強になりました。
聞き手の方皆さんの態度がとても温かく、自分だったら何でも話したくなるだろうなと思いながら聞いていました。
「今何が起きているか」という大事なことを実際の面接場面で忘れていることが多かったので、再確認することができました。ありがとうございました。
貴重な研修会に参加させていただき、ありがとうございました。
なかなかロールプレイの場面を見る機会が少なかったため、とても参考になりました。1人だと視点が偏りがちですが、多くの方の感想を共有できる場はとても重要だと感じました。
とても貴重な時間でした。まずは、しっかり丁寧に聴くことが大事ですね。ありがとうございました。
相談場面のロールプレイをとりいれた研修への参加(観察者としてでしたが)は本当に久しぶりで、良い意味での緊張感がありました。聞き手、話し手を引き受けてくださった皆様がとてもうまく役割を担当くださったおかげで、とても学びの多い研修になったと感じております。相談内容もよく考えられており、最後の振り返りでは参加者の皆様の気づきなどから多くの学びを得ることができました。ありがとうございました。
この度は、実践的な研修を実施していただきありがとうございました。
また、フィードバックの時間をしっかり設けてくださったおかげで、皆様と感想や意見を交換することができ、大変有意義な学びの場となりました。
カウンセリングを進めるにあたり、どのような視点を持ち、どのような言葉を選んで生徒に伝えていくべきかを先生から直接教えていただけたことは、大変貴重で勉強になりました。
今回の研修で得た学びを活かし、今後の日々の実践に役立ててまいります。
また、このような研修を実施していただければ幸いです。
7分ごとに聞き手が入れ替わることで面接の流れが序盤、中盤、クロージングに向けてと、明確になっていたことが新鮮でした。
日頃の面接でも、漠然と聞くのではなく、いま何を意識して相手の話を聞くのか、面接の終わりをどうイメージしていくのか、ということを考えながら話を聞いていくことが大切だと痛感しました。
気持ちを出せないが話したいことがあふれる話し手、という役作りで話し手として参加しましたが、聞き手の先生方がそれぞれ聞くことを大事にされ面接が安心できる場になっていると感じる中、
心理教育的な視点の共有、気持ちにも触れるというタイミングがすごくてとても勉強になりました。
ありがとうございました。
リレーロールプレイ研修は初めての経験です。今までもおそらくこれからもSCの面談場面に同席する機会もないためロールプレイ研修会は新鮮でした。3名の聞き手役がそれぞれ約7分という時間で担当されましたが、あたかも1人で面談されているように流れていったことに驚きと同時にわかりやすい心地よいものを感じました。
観察する中で自分自身が実際に行っている面談について反省点や新鮮な気づきをその場で得ることができ、とても有意義でした。ご参加の皆様の温かい雰囲気の中で緊張が和らぎ安心できました。また機会あれば参加したいと思います。ありがとうございました。
リレーロールプレイ、多くの人が体験できるので良いと思います。
聞き手や話し手をやりたいけど、その場はやることに集中してしまうため、あとから振り返られるよう、アーカイブがあると良いな、と思います。
三者三様の聴き方を短時間で体感することができるのはとても新鮮でしたし、自身の対応を振り返る場面がたくさんありました。ディスカッションもSC同士ということで、とても安心して様々な話をしたり、聞いたりすることができたのが印象的でした。