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こころの科学第230号に寄稿しました

もくじ:特集「心理療法のエッセンス」

こころに動きをもたらすもの 内海新祐・青木省三(編)

 

心理療法のエッセンスにどう近づくか……内海新祐

心理療法において大切なもの……青木省三

私の考える心理療法のエッセンス……原田誠一

あえて、身体に働きかける……宮地尚子

日常診療の中の精神療法——こころの痛みを感じとる作業  ……青島多津子

子どもと親の間で生き延びる伴走者として——児童精神科クリニックの臨床から……松岡祐加

スクールカウンセラーの実践におけるカウンセリングのエッセンス  ……半田一郎

「支配‐被支配」の関係を越えて——児童養護施設での経験から  ……綱島庸祐

クライエント中心療法の立場から……小林孝雄

依存症臨床における心理療法のエッセンス——愛着志向療法  ……小林桜児

森田療法のエッセンス——プロセスの中でこころが動くとき  ……塩路理恵子

凡庸さにとどまること——私の考える心理療法のエッセンス  ……山崎孝明

「町のセラピスト」考……工藤晋平

作家の言葉からみる心理療法のエッセンス……遠藤裕乃

地道に安全や安心への道を歩む……星野俊弥

 

色々な立場から心理療法のエッセンスについて語られている特集です。この特集を読むと、心理療法が多様な形を持っていることを感じます。その反面、根っこの所では共通する姿勢や考え方を持っていることが分かります。

 

ところで。心理療法とカウンセリングの異動については、色々な意見があります。私は、心理療法とカウンセリングは根本のところでは共通していて、カウンセリングのほうが大きな広がりを持っている概念だと捉えています。

 

公認心理師が誕生し、他職種から公認心理師の資格を取得した心理職が数多く誕生した今の状況は、心理療法とカウンセリングの違いを考えることよりも、他の専門領域(ソーシャルワークや教育など)との違いや共通点について明確にしていかなければならないと思っています。

 

 

スクールカウンセリングにおけるカウンセリングのエッセンス

 

 伝統的にカウンセリングは、週1回1時間などの時間の枠組みで行われます。日常生活を離れて、わざわざカウンセリングルームを訪れて、カウンセリングを利用します。そのため、自分自身で問題意識を持って、そのことをカウンセラーに自分から話す必要があります。カウンセラーは、まずは話をよく聴いて相談に来た人の問題意識を共有します。

 

 しかし、学校現場は子どもの日常生活です。子どもがわざわざカウンセリングルームを訪れて自分の悩みを話すまでもなく、子どもが直面している問題状況はカウンセラーの目の前に生じてくることがあります。例えば、SCの目の前でいじめのような場面に出会うことがあるのです。そういう子どもに、改めて相談室で話をしてもらうことも、もちろん非常に大きな意味があります。しかし、その場面に遭遇した大人の一人として、SCは心理職という立場だからこそできることがあるのではないかと思います。その場面でのSCのかかわりの中にも、カウンセリングのエッセンスが活きているはずです。

 

 そういった問題意識から、今回の特集記事の1つを担当させていただきました。興味のある方は、ご一読いただけるとありがたいです。

 

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