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不登校の小学生の勉強はどうする?

 

学校が辛かったり、学校が合わなかったりして、学校に行かないで過ごしている小学生の子どもたち(いわゆる不登校の子どもたち)もここ数年多くなってきました。

 

学校には、無理して行かなければならないということではなく、学校が合わなければ、家庭で過ごしたり、学校以外の場所に通ったりすることも選択肢の一つだということが社会でも認められるようになってきました。

 

そういった学校を休んでいる小学生(不登校の小学生)の勉強はどのようにしたら良いか、解説しました。

 

脳を育てる

 

小学生の年齢では、勉強がよくできるようになることよりも、脳を育てることを大切に考えることが良いと思います。脳がどんどん発達・成長している年齢だからです。

 

まず、脳について一番大切なことを説明します。

脳の基本構造は三層構造で、3階建ての家に例えて考えることができます。

 

 

1階:脳幹   →心拍、体温調整など生命維持を司る

2階:大脳辺縁系→感情、意欲、記憶などを司る

3階:大脳   →思考、判断などを司る

 

なお、家の基礎は身体(内臓、筋肉、骨格など)と考えると良いと思います。

 

 

大脳は、人間の脳の上の外側を覆っている部分です。よく「脳のシワ」という表現がありますが、シワというか溝がある部分です。

大脳辺縁系は、大脳の奥の脳の中心部に近いところにあります。

脳幹は、脳の中心部分から脊髄へとつながる部分です。

 

脳は、生き物の進化のプロセスで、1階建てから2階建て、そして3階建てへと少しずつ増築されてきました。人間は3階が非常に高度に発達しているのですが、1階、2階があってこその3階です。

 

小学生の段階では、まだまだ脳の成長発達の途中ですから、3階を鍛えることよりも、2階を育て、2階と3階の連携を育てることが大切なのです。

 

そのためには、紙の上の学習よりも体験を大切にすること、自分の気持ちや考えが言えることを大切にすることが基本となります。

 

紙の上の学習よりも体験

 

プリント学習やドリル学習に代表される紙の上の学習は、3階部分(大脳)を中心に働かせることになります。まだまだ、年齢的に3階を鍛えることよりは、2階を育て、2階と3階のつながりを育てることが大切ですので、体験を通して感じたり考えたりする学習が大切です。

 

 

気持ちや考えが言える

 

気持ちや考えが言えるようになることは、脳の2階と3階をつなげることです。辞書や図鑑に書いてあるような知識だけではなく、自分の感じたことや気持ちを言えると他の人から分かってもらいやすくなります。

 

また、小学校でも、活動を通して気づいたことを話し合うような学習スタイルが非常に多くなっています。

 

感情は大脳辺縁系(2階部分)が司っています。また、言葉は大脳(3階部分)が司っています。感じたことや気持ち(2階)と考え(3階)を言葉にして表現する(3階)ことは、2階と3階をつなげることになります。

 

ご家庭での学習でも、体験したことを踏まえて、気持ちや考えを言えるような学習を工夫していくことが大切です。

 

 

知識は楽しんで身につける

 

小学校の学習は、これからの進路や人生の基本となる学習です。だからこそ、生きた知識を身につけることが大切です。

 

そのためには、体験や読書を通して知識を身につけることが良いと思います。

 

読書は大切

 

全ての学力の基礎は国語力だと言われています。実際、共通テストなどの大規模なテストでも、国語の成績は全ての教科の成績と関連していることが分かっています。

 

ほとんどの小学生は、本を読むことが大好きです。小学生のうちから沢山の本を読むことが、学習につながっていきます。マンガや絵本も読書です。

 

選り好みせず、色々な本を読むことが大切です。

 

学習に直接つながる本やマンガは沢山あります。有名なところでは、「サバイバルシリーズ」や「歴史学習マンガ」があります。地域の図書館にもあると思いますが、人気があってなかなか借りられないかもしれません。予約して借りるようにするなどの工夫が必要ですね。

 

アニメから学ぶ

 

アニメはただの娯楽というよりも、そこから色々と考えたり、学んだりすることにつながっています。少し難しい内容でも、キャラクターの魅力から楽しんで見ることができることも多いと思います。

 

楽しんで見た後には、子どもたちは色々と話したがることが多いと思います。自分の感じたことや気持ちを言葉にすることにもつながるので、感想を話し合うことは非常に良いと思います。

 

大人でも楽しんで見ることができる作品も多いですから、子どもと一緒に見て、感想を話し合ったりすると、学習が深まりますね。

 

ただ、アニメは本当に沢山あるので、どれが良いか迷うと思います。沢山のアニメの中から学習に役立つアニメを厳選して紹介してくれているサイトがあります。ご参考になさってください。 

体験を広げるには

 

小学生の年齢では、体験から学習するが大切です。体験することは、脳の1階部分、2階部分、3階部分を全体的に使うことにつながります。

 

そのため、体験を広げて行くことが大切になってきます。

例えば、ご家庭で色々とお手伝いを習慣にすることは、体験を広げるためには非常に有効です。

 

習い事やイベントを活用

 

習い事は、学習に役立つことに狭めて考えるのではなく、子ども自身の興味や関心に沿って探すことが大切だと思います。

 

例えば、子ども向けの料理教室はお勧めです。家庭ではなかなかやってあげられないような、料理づくりを体験するともできると思います。

 

絵画教室やダンス教室など、子どもの好きなことを習うことがお勧めです。

 

体験キット

 

通販などで、ご家庭で作れるキットが販売されています。材料と説明書がセットになっていますので、子どもと一緒に作ると大人も楽しめると思います。

 

そういう体験も、子どもにとっては大切な学習になります。ほんの一例ですが、こんな体験キットがあります。

基本的な学習は?

 

体験したり、読書やマンガ、アニメを通して学習するとしても、基本的な漢字や計算の学習は大切です。漢字の「読み」は自然に身につくことが多いと思いますが、漢字の「書き」や計算は練習が必要なので、自然には身につかないことも多いかもしれません。

 

そういった基本的な学習もしっかりと身につけるためには、ある程度、紙とえんぴつを使った学習も家庭で行うことが必要ですね。

 

4・5年生までは親が見てあげる

 

小学校の低学年や中学年、つまり3・4年生ぐらいまでは、一人で勉強するよりは、親と一緒に勉強することがお勧めです。一人で勉強しても、理解して定着することは難しいので、親が教えてあげながら勉強することが必要だと思います。

 

親も小学校の勉強内容はある程度分かると思いますので、学校の教科書やドリルを使って勉強すれば良いと思います。

 

学校に抵抗がある場合は、無料プリントを活用

 

ただ、学校への抵抗感が強い場合には、教科書や学校のドリルを使うことは子どもが嫌がる可能性があります。そういう場合は、市販のドリルやプリントを使って学習することが良いと思います。

 

学校を意識するとかえって学習が滞ってしまいがちですので、無理せず学校とは別の教材を使うことがお勧めです。

 

インターネット上にも、無料で学習プリントがダウンロードできるサイトもありますので、検索して活用してみると良いかもしれません。

 

無料で使える学習プリントをまとめてくれているサイトがあります。ご参考になさってください。 

まとめ

 

小学生の学習では、紙の上の学習よりも、体験から学ぶことが大切です。さらには、体験から、感じたことや考えたことを言葉にすることも、大切な学習です。親と一緒にアニメを見て感想を話し合ったりすることも、脳を育てることにつながるので、お勧めです。

 

基本的な学習は、親が見てあげることも大切です。

 

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