以前の「心の健康が脅かされる大きな原因は?」という記事では、心と体の健康が損なわれる仕組みについてお話をしました。様々なストレスに出会ったときに命を守る防衛反応である「闘争逃走反応」や「フリーズ反応」が生じてしまい、心身の健康が損なわれてしまうのです。
それを踏まえて、心の健康を保つことために非常に重要である「マインドフルネス」についてお話をしていこうと思います。
マインドフルネスという言葉は、聞いたことがあるという方がほとんどではないかと思います。良くわかっているという方も多いと思いますが、重要な内容なので説明させてください。
マインドフルネスとは『今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、 評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること。「観る」とは、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触れる、さらにそれらによって生じる心の働きをも観る、という意味。』と定義されます(日本マインドフルネス学会)。
しかし、この定義ではなんとなく実感としてつかみづらい感じがするかもしれません。もう少し具体的に解説します。
悩みは過去と未来からやってくる
マインドフルネスを理解するためには、その反対のマインドレスネスを理解することが早道です。次の図の状態が、マインドフルネスの反対のマインドレスネスの状態です。
日本語では「心ここにあらず」と言われています。

誰にでも経験があることだと思いますが(私もよくあることです)、昨日の仕事のミスを後悔してグルグル考えたり、明日の仕事を心配してアレコレ考えたりしがちです。
アレコレ、グルグル考えてしまって、布団に入ってもなかなか寝付けず、睡眠不足になってしまうこともあるかもしれません。こんなふうに、過去のことや未来のことを色々と考えてしまうことが、悩みの本質です。つまり、悩みは過去と未来からやってくるのです。
結局、マインドフルネスとは何?
マインドレスネスの反対が、マインドフルネスです。分かりやすい例は、スポーツなどの体を動かすような活動に集中して楽しんでいる時は、自然にマインドフルネスになっています。例えば、テニスをしている時には、ボールの動きを視覚でとらえてつつ、自分の体の動きや状態もキャッチして、プレイしているのです。その時には、昨日の出来事も明日の予定をぐるぐると考えてしまうということはないのです。これも、一つのマインドフルネスです。
庭の草むしりに集中している時も同じです。雑草を目と指先の感覚でとらえて、自分の指の感覚や動きを感じ取りながら、雑草を抜いています。これも一つのマインドフルネスです。
つまり、マインドフルネスは特別なことではなく、生活の中の色々な場面で自然に生じている状態なのです。
今の瞬間瞬間の感覚や感情、思考をそのまま感じ取って、それにとらわれずに、次の瞬間瞬間の感覚や感情、思考をそのまま感じ取るというその繰り返しがマインドフルネスなのです。
マインドフルネスの重要性
人は誰でも常にどの瞬間も感覚器官を通して何かを感じ、それに伴って心が動いています。つまり、その瞬間瞬間に何かを体験しているはずなのです。
しかし、心ここにあらずという状態は、「今ここ」で生じていることから心が離れてしまっていて、心がここにいない状態なのです。これがマインドレスネスということです。
そして一番の問題は、マインドレスネスの状態にあるときに防衛システム(闘争逃走反応やフリーズ反応)が働いてしまうことです。
こういった状態が長引いてしまうことが、心身の不調につながるのです。
つまり、心身の健康のためには、マインドレスネスの状態から抜け出し、マインドフルネスの状態にいる時間を確保することが大切なのです。
マインドフルネスは、今の自分に何かを足したり、何かを引いたりすることではありません。そのままの自分に気づき、そのままの自分でいつづけることです。
実は、現代人にとって、そのままの自分でいつづけることはかなり困難なことです。私たちはいつも状況や相手に合わせて自分を抑えたり押し隠したりして日常を乗り切っています。また、常に成長に向かって駆り立てられています。
だからこそ今の自分のままの自分でいて(何も足さず何も引かない)というマインドフルネスは、現代人にとってきわめて大切なことだと思います。そして、(以前にお伝えした)防衛反応から離れて、心と体が回復してくることにつながるのです。
どのようにマインドフルネスを実践するのかについては、「マインドフルネスを実践する」という記事をご参照ください。
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