この記事では、「セルフコンパッション」(自分への思いやり)についてお伝えしたいと思います。
「心の健康が脅かされる大きな原因は?」という記事では、動物の防衛反応である「闘争逃走反応」や「フリーズ反応」が心身の健康を害する大きな原因になっているということをお伝えしました。
また、「マインドフルネス」「マインドフルネスを実践する」という記事では、マインドフルネスを生活の中で実践することで「闘争逃走反応」や「フリーズ反応」を逃れて、心身の回復を促すことをお伝えしました。
さらに今回は、そのマインドフルネスと深く関係している「セルフコンパッション」についてお伝えします。 セルフコンパッションは「自分への思いやり」という意味ですが、うつ状態からの回復やバーンアウトの予防など心の健康に効果があると確かめられています。
日々の生活の中に少しだけでも取り入れていただきたいと思っています。
セルフコンパッションとは
セルフコンパッションとは、「苦しんでいる自分に気づき、思いやりを向ける態度」のことです。それは、できなかった自分を正当化することでも、反省をやめることでもありません。 まずは、「今、自分はしんどい状態にある」「これだけの負荷の中で、よくやっている」と、事実として認めることから始まります。そういう自分に気づき、自分に思いやりを向けることが大切なのです。
「つらい自分に、逃げずにやさしく寄り添い、長い目で助けになる選択をすること」です。
さらに大切なエッセンスを端的に言うと
「自分を責めずに、味方でいること」
「自分を大切な人として扱うこと」
ということです。
「甘やかし」でも「気合い」でもなく、「誠実さと優しさを自分自身に向けること」なのです。
セルフコンパッションの3つの要素
心理学では、セルフコンパッションは次の3つの要素から成ると説明されています。
1)マインドフルネス: 苦しさやつらさを否定せず、「今、つらい」などと気づくことです。
2)共通の人間性: 失敗や行き詰まりは、自分だけに起こる特別なことではなく、誰にでも起
こりうることだと理解することです。
3)自分への優しさ: 苦しんでいる自分に、友人に向けるような言葉をかけてみることです。
自分への思いやりでは、成長しないのでは?
一見すると、「自分に厳しくすること」は成長につながるように思えます。しかし、心と体の仕組みから見ると、自分への厳しさは「闘争逃走反応」や「フリーズ反応」をさらに強めてしまうリスクがあります(「心の健康が脅かされる大きな理由は?」を参照してください)。
つまり、自分を追い込めば追い込むほど、心身は回復から遠ざかってしまうのです。心身がダメージを負ったままの時には、自分の力を発揮できません。自分が成長することにはつながりにくいのです。
しっかりと心身が回復し自分が本来持っている力を発揮できれば、それが少しずつ自分自身の成長につながっていくと思われます。
甘え・怠け・わがままとの違い
セルフコンパッションは、「甘やかし」「怠け」「わがまま」と同じことのように思われがちですが、実際には基本的な姿勢に違いがあります。
「甘やかし」「怠け」「わがまま」では、その場の不快感を避けることが中心になっています。短期的には楽になりますが、あとで問題が大きくなったり、自己嫌悪が生じたりしやすいと考えられます。
セルフコンパッションは、苦しさや弱さを否定せず、ちゃんと認めることが最も大切な基本の姿勢です。「つらいよね」「苦しい中ここまでよく頑張ってきたね」と自分を理解することが大切なのです。そのつらさや苦しさを否定したり、避けようとする姿勢ではありません。
もちろん、時には「甘やかし」「怠け」「わがまま」になってもかまわないのです。人間として、そうなってしまうことは無理もないことがあります。
セルフコンパッションは、そうなってしまうことも認めつつ、自分の苦しさやつらさを認める姿勢を大切にしています。
セルフコンパッションを日常に取り入れる
本来、セルフコンパッションは特別なものではありません。誰もがもともと持っている、自分を思いやる姿勢です。反面、現代社会はセルフコンパッションを感じる時間やゆとりが失われてしまっています。そのため、セルフコンパッションを意識的に日常生活の中に取り入れることが大切になるのです。
日常の小さな場面で、自分に思いやりを向ける声掛けや自分をケアする動作を心掛けることをお勧めします。
① 自分への声かけを少しだけ変える
何かうまくいかなかった時、心の中で「なんで私はできないんだ。」と考えて、自分を責めてしまいがちです。「なんで私はできないんだ」と思うことは無理もないことです。そう思ってもかまいません。
その言葉の後に「ああ、今つらいんだよね。良く頑張ってるよ。」と自分自身を認める言葉を付け加えることをお勧めします。
② 「大切な人に声をかけるときなら、何て言う?」と少しだけ考えてみる
自分が落ち込んだ時に、ひと呼吸して「もしこれが大切な人だったら、私はどんな言葉をかけるだろう?」と少しだけ考えてみてください。その言葉を思い浮かんでくるだけでもOKです。もし可能なら、その言葉を改めて自分自身に言ってみることも良い方法です。
③ 体に向けたミニ・セルフケア
少しだけの隙間時間があったら、体からコンパッションを自分に向けてみましょう。
・胸やお腹に手を当てて、ゆっくりと呼吸を3回してみる。
・温かい飲み物を一口だけ口に含んで、その味や香りが口の中に広がる感覚に集中する。
・肩にギューッと力を入れて持ち上げます。10秒数えてから、ストンと落とす。
少しの時間だけでも体がリラックスする時間を取ることもセルフコンパッションです。
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