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スマホとの付き合い方

 

 スマホばかりで、なかなか寝ないとか、全然勉強しないとか、お子様のスマホとの付き合い方について悩んでいる保護者様が多いのではないかと思います。

 実は、スマホとの付き合い方は、理論的に考えても、非常に難しいのです。

 

バランス理論

 ハイダーという人が提唱した「バランス理論」という理論があります。古典的な理論なのですが、シンプルで大変分かりやすく、汎用性があります。

 人と人の関係の中で、3人の関係や、2人とある特定の物事など、3角形の関係で成立する理論です。

 

 下の図を見てください。スマホとお子様と保護者様の3角形を考えます。【お子様とスマホ】、【スマホと保護者様】、【保護者様とスマホ】という3つの関係があります。「+」「-」という表現は、それぞれの関係が、プラスなのかマイナスなのかということです。例えば、スマホに否定的であれば、マイナス(-)となります。

 この3角形の中の3つの関係の掛け算の結果(積)がプラスの場合に関係が安定するという理論です。また、3つの関係の掛け算の結果(積)がマイナスの場合には、変わりやすいところから関係が変化していき、掛け算の結果(積)がプラスになるように関係が変わるとされています。

スマホをめぐる子どもと保護者の関係1

幼児期から児童期に多いパターン

スマホをめぐる子どもと保護者の関係2

 保護者様とお子様の良好な関係が基盤になっています。保護者様がスマホに否定的で、お子様もスマホに否定的という状態です。

 この関係では、3つの関係の掛け算の結果(積)は、(+)×(-)×(-)=(+)ということで、プラス(+)になっています。

 つまり、安定的な関係です。保護者様がお子様にスマホをできるだけ使わせたくないということが、ある程度うまくできる状態だと言えます。

 

思春期以降に生じがちなパターン

スマホをめぐる子どもと保護者の関係3

 お子様が思春期に近づいてくると、お子様にとってスマホの魅力はどんどん増してくることが一般的です。お子様とスマホの関係はプラス(+)となることが多いと思います。また、思春期に近づくと、多くの子どもたちは養育者に対して多かれ少なかれ反抗的になってきます。つまり、お子様と保護者様の関係はマイナス(-)となることが多いと思います。

 そういった変化が生じてくると、上の図のような状態になります。この状態では3つの関係の掛け算の結果(積)は、(+)×(-)×(-)=(+)ということで、プラス(+)になっています。

 つまり、安定的な関係なのです。保護者様が、お子様にはスマホを使わせたくないと考えても、理論上はなかなか上手くいかないと考えられます。

 

 お子様はスマホとプラスの関係で、保護者様とお子様の関係はマイナスになって、なかなか保護者様の思うようには行かない状態になってしまうと考えられます。また、保護者様がスマホに対して否定的な態度を強めていくと、保護者様とお子様の関係がどんどんマイナスを強めてしまうと考えられます。

 

 お子様をスマホから遠ざけておくことはかなり難しい世の中だと思います。スマホを遠ざけておくことよりも、親子関係がそれなりに良い関係でありつづけるということが大切ではないかと思います。

 一昔前なら、親子関係が良好でなくても、大家族の中で他の家族が支えてくれたり地域の中で支えてくれる人がいたかもしれません。しかし、最近の若者を取り巻く社会状況は、サポートのない若者が大きなリスクにさらされている現状があります。そういったリスクを考えると、親子関係がある程度良い関係に保たれているというのは、非常に大切だと思います。

 こちらの記事もご参照ください。→「となりのトトロ」と座間市の事件のつながり

 

安定する関係

スマホをめぐる子どもと保護者の関係4

 親子関係がマイナスで安定してしまうということは、できれば避けたいところです。思春期も、できるかぎり安定した親子関係をもとにお子様の成長を支えていきたいと思います。

 では、どうしたら良いでしょうか?

 

 実は、人間関係は1つの三角形ですべてが説明されるわけではありません。スマホとご自分とお子さんという、ちいさな三角形で考えるのではなく、ご家族全体や、スマホ以外の共通の活動・趣味などを含めて広く考えていくことが大切です。例えば、映画が共通の趣味なら、その三角形では親子の良い関係が保たれていると思います。

 そういった、広い関係のなかで、3角形がすべてプラス(+)になるような関係をいくつも保っていくことが大切ではないかと思います。

 

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ネット依存・スマホ依存を予防する

 スマホだけを問題にしても、スマホ依存を予防することはなかなか難しいものです。スマホを使うときのルール作りが大切と言われています。ルールの内容も大切ですがルールの決め方やル0ルが守られなかった時の対処を事前に話し合っておくことも大切です。

 

スマホを買う前に親子でチェック

 

 スマホにはまってしまうと、生活習慣がどんどん崩れてきます。そうなってから対処するのではなく、スマホを買う前に親子で生活習慣について話し合っておくことをお勧めします。