スクールカウンセラーを育てるには

 以前から思っていたのですが、どうしても、気になるので書いてみました。

 

 スクールカウンセラーが常勤化されるという見通しのようです。現実化するのは、数年以上先だと思われますが、スクールカウンセラーが今よりも必要となり、人材が足りないのではないかということがあるようです。それに伴って、スクールカウンセラーの質を確保するということも大切だと言われています。

「病院での臨床経験など学校以外での経験がない人がスクールカウンセラーになることが果たして良いのか」ということを主張する人もいます。

 

 私は、スクールカウンセラーを人数も質も確保しなくてはいけないということには賛成なのです。でも、スクールカウンセラーになるには、病院での臨床経験が必要という意見には、全く賛成できません。

スクールカウンセラー制度が始まって20年を超えましたが、20年前から同じようなことを言う人はいました。病院などで経験豊富な人がスクールカウンセラーになってくれたら、やはり良いことだと思われます。

でも、よく考えてみるとこの考え方はおかしいところがあります。

 

 別の例を使って考えてみます。例えば、「学校の先生になるには、塾講師の経験がないとダメだね」という意見はどうでしょうか? この意見を塾講師の人が言うのであれば、塾講師という仕事を学校の先生よりも高く評価していると考えれば、全体的に理解できます。しかし、この意見を学校の先生が言った場合はどうでしょうか? この言葉には塾講師の方を自分の仕事よりも高く評価しているという意味が含まれているので、こんなこという学校の先生は自分の仕事をどう評価しているのか、自分の仕事に誇りを持っているのか、疑問を感じてしまいます。

 しかし、スクールカウンセラーについては、病院での臨床経験がないとスクールカウンセラーはできないというような意見が、意外と通用しているようです。

 

 ところで、大学の学生相談の概念ですが、「療学援助」という言葉があります。精神科などの医療機関で治療を受けながら大学での学業の継続や大学への復帰を目指す学生を学生相談がサポートするという援助活動です。精神疾患を治療するのではなく、精神科的な病気を抱えながらも、大学での学業や生活をきちんとやっていけるように学生相談室がカウンセリングなどの活動を通してサポートするのです。病院でのカウンセリングとはまた違った機能や役割が求められるのです。

 

 学校でのスクールカウンセラーが常勤化されると、子どもとのカウンセリング面接以外の活動も非常に多くなると思われます。療学援助と全く同じで、様々な困難を抱えた子どもが学校で上手くやっていけるような支援を適切に行うことが必要になるのです。だから、スクールカウンセラーの活動の中で病院での経験が役に立つ部分は、本当に小さい部分でしかないというふうに予想されます。病院での経験がないとスクールカウンセラーはできないというような意見には論理的・現実的な整合性がありません。

 

 現場で必要なことは現場で学ぶことができるはずです。それをどういう仕組みで実現するのかが大切だと思います。