スクールカウンセラーの募集と待遇

スクールカウンセラーの募集

 スクールカウンセラーの募集は、都道府県と政令指定市によって行われます。時期は、9月から12月頃で、募集される県や市によって違います。ほとんどの場合、都道府県などのホームページで告知されますので、その時期には見逃さないように気をつけておくことが大切です。

 

スクールカウンセラーの待遇

スクールカウンセラーの時給

 スクールカウンセラーの時給は持っている資格などの要件によって違います。臨床心理士の場合には時給5000円という場合が大半です。臨床心理士に準ずるものとしての採用の場合には時給3500円という場合が多いようです。時給5000円で、1日8時間、毎日働けば、5000円×8時間×240日(1年間)=960万円となり、すごい年収になります。驚かれる方も多いかもしれません。しかし、現実はそうではありません。

 

スクールカウンセラーの年収を試算

 ここで、千葉県、千葉市、さいたま市の実際のスクールカウンセラーの募集要項を見て、スクールカウンセラーの年収を試算してみます。

 

千葉県のスクールカウンセラーの場合

例えば平成29年度の千葉県スクールカウンセラーの募集要項をみてみます。それによれば、勤務時間は、1校あたり年間202時間となっています。概ね、週1日、1日あたり6時間、年34日(つまり34週)の勤務となります。1年間は、約52週ありますから、勤務のない週が18週間あるわけです。約4ヶ月の間も勤務がないということになります。

千葉市のスクールカウンセラーの場合

 また、平成29年度千葉市スクールカウンセラー(千葉市は政令市のため独自に募集しています)の募集要項をみてみます。「年間280時間(原則として週2日、1日4時間勤務)」となっています。概ね、週2日、1日あたり4時間、年70日(つまり35週間)の勤務となります。やはり、勤務のない週が17週間あることになります。

 

さいたま市のスクールカウンセラーの場合

 平成29年度さいたま市スクールカウンセラー(さいたま市は政令市のため独自で募集しています)募集要項をみてみます。「1日につき6時間 年間240時間 40週 (週1日)」とのことです。やはり、勤務のない週が12週間あるということになります。

 

スクールカウンセラーのかけ持ち

ここで、平日5日をスクールカウンセラーとして勤務すると考えると、異なる自治体や都道府県を掛け持ちして勤務する必要があります。各県や自治体では、多くの場合2校までしか掛け持ちを許していないからです。

 

そこで、千葉県のスクールカウンセラーを週2日(2校分)、千葉市のスクールカウンセラーを週2日(1校分)、さいたま市のスクールカウンセラーを週2日(2校分)を掛け持ちしたとします。

 

千葉県(5000円×202時間×2校)+千葉市(5000円×240時間×1校)+さいたま市(5000円×240時間×2校)=5620,000円となります。つまり、年収562万円です。

 

実は、この試算は現実的ではありません。スクールカウンセラーは多かれ少なかれ仕事を掛け持ちしていますが3つの都道府県や自治体を掛け持ちしている人をみたことはありません。違う都道府県や自治体で採用されていると、その都道府県・自治体ごとに会議や研修が組まれているので、その日程調整にかなり苦慮することになります。また、この例では3箇所から採用される必要がありますが、それも難しいことだと思われます。

 

 

教育相談員とスクールカウンセラーのかけ持ち

 

現実的に良くあるケースは、教育センターなどの教育相談員とスクールカウンセラーを掛け持ちするという例です。具体的に考えてみます。

 

 千葉県市川市の教育センターの教育相談員の募集情報を『広報いちかわ』から拾ってみます。おおむね週3日勤務で、日給15,620円とのことです。月あたりの勤務日数を13日と考えると、月収は203,060円となります。年収は2,436,720円となります。これに千葉県のスクールカウンセラーを2校掛け持ちする場合を考えます。

 千葉県スクールカウンセラー(5000円×202時間×2校)+市川市教育相談員(15,620円×13日×12ヶ月)=4,456,720円となります。つまり、年収は約446万円となります。

 

 しかし、残念ながら、この試算もかなり条件が良い人の場合です。そもそも、一つの県で複数のスクールカウンセラーを掛け持ちできる人は一握りです。また、相談業務は心理的な負担も大きいですから、週5日の勤務はスクールカウンセラー個人にとっては負担が大きくなりかねません。それを避けて、週5日の相談業務を避けているカウンセラーも多いようです。

 

従って,良くあるケースは教育相談員週3日、スクールカウンセラー週1日という掛け持ちです。この場合、千葉県スクールカウンセラー(5000円×202時間×1校)+市川市教育相談員(15,620円×13日×12ヶ月)=3,446,720円となります。つまり、年収は約345万円となります。

 

まとめ

スクールカウンセラーの時給が5,000円ということから、960万円の年収になるように思うかもしれませんが、実際は勤務日数の関係であり得ない数字です。現実には、教育相談員とスクールカウンセラーをかけ持ちしている場合が多く、その場合の年収は、340万円から450万円程度だと予想されます。

 

参考サイト

臨床心理士の佐藤セイさんが「臨床心理士の年収っていくら?生活はできる?臨床心理士のお金のギモンをまとめて解説」という記事でも、臨床心理士の年収について書かれています。臨床心理士の年収で生きていく方法として、スクールカウンセラーのような給与の良い仕事を確保することや、ライターのような専門性を生かした副業をするという方法が紹介されています。

 

以下のリンク先をご参照ください。
臨床心理士の年収っていくら?生活はできる?臨床心理士のお金のギモンをまとめて解説

 

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 スクールカウンセラーは学校では、一人の心理職です。スクールカウンセラーにこそ、一人一人のニーズに合わせたサポートが必要だと感じます。

 

学校心理士の取得

 スクールカウンセラーとして活動したい公認心理師や臨床心理士の方には、自分自身の専門領域を示すためにも、専門性を高めていくためにも、学校心理士の資格を取得することをお勧めします。