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『叱らない子育て』について考える

「『叱らない子育て』が自主性を育てる」という意見があったり、反対に「『叱らない子育て』が子どもをわがままにする」という意見があったり、『叱らない子育て』を巡って正反対な意見があるようです。そこで、『叱らない子育て』について考えてみます。

 

「叱る子育て」が良いか、「叱らない子育て」が良いか迷う母親

「叱る」とは

まず、『叱る』という言葉の意味を考えてみたいと思います。

 

 叱る:相手の良くない言動をとがめる、責める。

 

ということです。

『とがめる』『責める』という言葉が出てきますので、その言葉も調べてみます。

 

 とがめる:注意したり責めたりする。なじる。非難する。 

 責める :相手をとがめる。非難する。

 非難する:相手の欠点や過失を責める。

 

つまり『叱る』というのは、相手をとがめたり、責めたり、なじったり、非難したりすることだと考えて良いでしょう。

 

『叱らない』ときに何をするのか?

 

 

一般的なことですが、「○○ない」という言い方(言葉)は、「○○」の代わりに何をしているのかということが明確ではありません。「○○ない」という言い方は、「○○」以外の無限の内容を示しています。

「叱る子育て」と「叱らない子育て」の関係

 

 

『叱らない子育て』は、ただ単に『叱らない』と言っているだけで、どうすれば良いのかがはっきりしていません。上の図のように、円の全体が子育てだとしたら、『叱らない子育て』は、緑色をした非常に大きな範囲なのです。

 

『叱らない子育て』は、【子どもをただ単に放置していて子どもに関わりを持っていない子育て】なのかもしれませんし、【子どもに丁寧に教えて導いていく子育て】なのかもしれません、【子どもに冷静に関わり、子どもが自分で考えられるように投げかける子育て】なのかもしれません。非常に幅広いバリエーションがあるのです。

 

そのため、『叱らない子育て』が良いかどうかは、その言葉だけは全く分からないのです。

 

『叱る子育て』の問題

 

では、『叱る子育て』の問題点を考えてみます。

一番の問題点は、【叱られるか】、【叱られないか】を自分の基準にして子どもが行動するようになることです。

 

大人が見ていないところでは、不適切な行動をとるようになってきます。また、大人がいても「叱られるまではOK」という態度ができてしまいます。さらには、少しずつ叱られることに慣れてきますので、大人はどんどん厳しく叱る必要がでてきます。こういった状況がエスカレートしてくると、叱られるまで自分から止めることはなく、しかも叱っても叱っても良い方向に変化しない、という状況に陥ってきます。

 

つまり、『叱らない子育て』は、漠然としていて中身が分からないため、良いとも悪いとも言えず、お勧めはできません。また、『叱る子育て』も叱っても叱っても良い方向に変化しない状況になりがちなので、お勧めできません。

 

『叱らない子育て』ではなく、どんな子育てがお勧めか

それは、『(叱る代わりに)きっかけを与えて、子どもが自分で変わる子育て』です。こんなふうなかかわり方をお勧めします。

 

子どもが、叱りたくなるような行動をしていることに気づいたら、まずは、近づいて、こちらに注意を向かせます。そして、自分のしている行動に気づかせます。次に、その行動が良くない行動であると指摘して、どうすれば良いか質問します。もし、子どもが適切に答えられたら、答えられたことをほめます。そして、やってみるように促します。子どもが、自分で少しでも実行できたらほめます。

 

簡単にまとめると

  1. 子どもが、叱りたくなるような行動をしている
  2. 近づいて、こちらに注意を向かせる
  3. 自分のしている行動に気づかせる
  4. その行動が良くない行動であると指摘する
  5. どうすれば良いか質問する
  6. 答えられたらほめる
  7. やってみるように促す
  8. 少しでも実行できたらほめる

というながれになります。

 

具体的に考えてみました

 

子:友達を叩いている

親:子どものそばにすぐに近寄って、

  「今、○○ちゃんを叩いてた?」と質問する

子:「だって○○ちゃんが、△△したんだよ!」と主張してくる

親:「そうなんだね、嫌な気持ちになったんだね。」と気持ちを受け止め

  「そういう時にどうしたらよかった?」と子どもに質問する。

子:「叩かない」

親:「そうだねぇ、ちゃんと分かってて素晴らしいね。叩かないでどうしたらよかった?」

子:「△△しないでって言う」

親:「そうだねぇ、ちゃんと分かってて素晴らしいね。自分でできそう?」

子:「うん」

親:「すごいねぇ。「△△しないで」って言う前にも言うことがあるよ」

子:「ごめんねって言う」

親:「そうだねぇちゃんと分かってて素晴らしいね。自分で○○ちゃんに言えるかな?」

子:「うん」

 

もちろん、必ずこんなふうに上手くいくとは限りません。こんなやりとりの途中まで進むだけで非常に意味があると思います。例えば、子どもが「叩かない」と答えられてだけでも、非常にすばらしいですし、大きな意味があります。

 

繰り返しながら少しずつ自分で気づいて、自分で行動を変えられるように子どもをサポートしていくことが大切だと思います。

 

 

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