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【日本公認心理師協会】と【公認心理師の会】を比べてみた

 

公認心理師が誕生して、全国規模の職能団体が2つ立ち上がっています。

どんな違いがあるのか、ホームページから比べてみました。

それぞれの団体のホームページは、以下のリンクからどうぞ

 

 日本公認心理師協会

 

 公認心理師の会

 

なお、この記事は2019年6月3日に両団体のホームページに掲載されている情報をもとに記事を書いています。どちらの団体も、ホームページがどんどん充実してきております。最新の情報をご確認ください。

 

また、2021年5月16日に、倫理綱領に関して比較した内容を付け加えました。

 

名前が違う

日本公認心理師協会

先頭に【日本】がついて、【協会】となっています。

 

個人的な印象ですが、よく言えば実直な雰囲気で、悪く言えばお堅い雰囲気だと思います。

 

公認心理師の会

名前に【日本】がつかず、「協会」でもなく、【の会】となっています。

 

個人的な印象ですが、柔らかい感じがします。

 

入会資格が違う

日本公認心理師協会

当然、公認心理師は入会できます。それだけではなく、臨床心理士、学校心理士、臨床発達心理士、特別支援教育士も、公認心理師の受験を考えている人は入会できます。

しかも、経過措置が終わったあとでも、公認心理師ではない、臨床心理士、学校心理士、臨床発達心理士、特別支援教育士の人たちも準会員として入会できます。

 

幅広く、心理職が参加している職能団体を目指していると言えると思います。協会ですから、公認心理士以外の会員がいることも自然なことだと思われます。

 

公認心理師の会

公認心理師だけが入会できます。「~の会」という名称ですから、公認心理師だけがメンバーであるのは自然なことだと思います。

 

関連団体が違う

日本公認心理師協会

9つの団体が協賛・協力しているとのことです。

 

一般社団法人 日本心理臨床学会

公認心理師養成機関連盟

公認心理師制度推進連盟

一般社団法人 日本臨床心理士会

一般社団法人 学校心理士認定運営機構、日本学校心理士会

一般社団法人 日本スクールカウンセリング推進協議会

社団法人 日本発達障害ネットワーク(JDDnet)

非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会

公益財団法人 国際医療技術財団

 

公認心理師が誕生する以前から心理職の職能団体として活動してきた団体や、支援の現場に近いところにいる団体が協賛・協力しています。

 

公認心理師の会

2つの団体が後援しているとのことです。

 

公益社団法人日本心理学会

公認心理師養成大学教員連絡協議会

 

特別に、深いかかわりのある団体が後援しているということだと思います。

 

活動内容が違う

日本公認心理師協会

①人々の健康と福祉の増進に寄与する社会貢献活動

②各種政策提言や診療・介護・障害福祉サービス等の報酬改定要望など

③学術研究活動の支援

④生涯研修システム(認定研修、専門資格、指導者養成等)の検討

⑤官公庁、関係諸団体との連携・協働の促進

⑥会員のスキルアップ・キャリアアップ支援と福祉の向上

 

第一番に、利用者の利益に関わる活動が挙げられていることが目を引きます。6番目に、「会員の福祉の向上」が掲げられています。心理職も、一人の労働者であることは変わりありません。心理職の一人として、職能団体には会員の利益についても考えてほしいと思います。もし私が会員になったら、日本公認心理師協会には、そういう面でも期待したいと思います。

 

公認心理師の会

a)科学者-実践家モデルにもとづく研修会・事例検討会

b)実習指導者の育成

c)診療報酬化に向けた活動

d)公認心理師のネットワークのプラットホーム

e)出版・広報

f)上位専門資格の資格認定

 

研修や資質の向上に関する活動が多い印象です。心理支援の利用者や公認心理師である会員の利益を擁護する活動は含まれていないことが気になります。

 

 

キャッチフレーズが違う

日本公認心理師協会

ホームページの目立つところに、「必要なときに、受けたい場所で、適切な心理支援を受けられる社会へ」と書かれています。

 

利用者の利益を最優先する団体だという印象が強いです。

 

公認心理師の会

ホームページの目立つところに、「公認心理師の会に入ろう」と大きく書かれています。

また、「科学者―実践家モデルの理念を大切にする未来志向の公認心理師」などというように、「科学者―実践家モデル」という言葉が何度も出てきます。

 

明るく呼びかけていて、親しみが持てる印象がありますが、「科学者―実践家モデル」を非常に強く強調しているのが気になります。

 

 

会費が違う

日本公認心理師協会

入会金 10,000円、年会費 10,000円

※2019年9月末までは、入会金無料

 

費用が高いという印象を受けます。

 

公認心理師協会

入会金 なし、年度会費 5,000円

 

こういった会で、年会費5,000円というのは格安だと思います。

 

情報公開度が違う

日本公認心理師協会

定款などの各種規約や、組織図、各組織のメンバーが公開されています。また、大熊保彦会長からの挨拶が掲載されていて、会の方向性や考え方が明確に示されています。

 

公認心理師の会

役員、運営委員、発起人は公開されていますが、定款などの各種規約、組織図、各組織のメンバーは公開されていません。また、丹野義彦会長の挨拶は掲載されておりません。

 

両団体の概要まとめ

  日本公認心理師協会 公認心理師の会
キャッチフレーズ  必要なときに、受けたい場所で、適切な心理支援を受けられる社会へ

公認心理師の会に入ろう

科学者―実践家モデル

入会金・会費

入会金 10,000円

年会費 10,000円

※2019年9月末までは、入会金無料

入会金 なし

年度会費 5,000円

 

入会資格

公認心理師

臨床心理士

学校心理士

臨床発達心理士

特別支援教育士

公認心理師のみ

両団体の活動内容についてのまとめ

  日本公認心理師協会 公認心理師の会
社会貢献活動 記載あり
各種政策提言・報酬改定 記載あり

記載あり

学術研究活動の支援

記載あり

生涯研修システム

記載あり

記載あり

関係諸団体との連携

記載あり

記載あり

研修会、会員のスキルアップ 記載あり 記載あり
会員のキャリアアップ 記載あり 記載あり
会員の福祉の向上 記載あり
出版・広報 記載あり

両団体のホームページでの情報公開

  日本公認心理師協会 公認心理師の会
役員 掲載あり 掲載あり
運営委員 掲載あり

掲載あり

定款などの各種規約

掲載あり

組織図

掲載あり

掲載あり

各組織のメンバー

掲載あり

会長挨拶 掲載あり

倫理綱領の違い

 2021年5月16日の段階では、日本公認心理師協会のホームページには、倫理綱領が掲載されています。また、個人情報保護規定と個人情報保護方針も掲載されています。いずれも、2020年9月18日付けとなっています。

 

公認心理師の会のホームページには、倫理綱領も個人情報保護に関する方針なども掲載されていません。もしかしたら会員専用ページには掲載されているのかもしれませんが、心理支援の利用者や入会を考えている人にも公開することが求められると思います。

 

倫理や個人情報保護は利用者の利益を保つためのものですので、日本公認心理師協会のように定めて公開することが大切だと思います。

 

※2022年6月21日に日本公認心理師の会に倫理綱領が制定されました。

 

2つの団体を比べてみた感想

こんなふうに、2つの職能団体を比べてみると、意外とたくさんの違いがありました。両方の団体に所属しても良いのですが、多くの人はどちらか一方に入会するのではないかと思います。

どちらの団体に入会するのかを考える参考になればと思います。

 

 

なお、この記事は2019年6月3日に両団体のホームページに掲載されている情報をもとに記事を書いています。

(倫理に関する定めについては、2021年5月16日の時点で、両団体で差がありました。)

 どちらの団体も、ホームページがどんどん充実してきております。最新の情報をご確認ください。

 

 

定款を比較しました

日本公認心理師協会と公認心理師の会の定款を比べてページを作りました。

参考になさってください。

 

日本公認心理師協会と公認心理師の会の定款を比較しました

 

こちらの記事もご参照ください