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コラージュ療法ーお勧めのアートセラピー

コラージュ療法の作品の1例

 コラージュ療法というのは、手軽にできるのに、非常に奥が深いアートセラピーの技法です。

 

 ところで、一般的には、「コラージュ」という言葉を聞くと、スマホのアプリを思い出す方が多いと思います。

 

 

 自分が撮った写真をトリミングして組み合わせて、新しい画像を作るアプリですね。例えば、こんなアプリがあります。

 皆さんのスマホにも、1つか2つぐらいは、こんなコラージュ作成アプリが入っているかもしれませんね。

 

コラージュとは

 スマホのコラージュアプリでは写真を切り貼りして新しい写真を作るのですが、「コラージュ」とは、まさに、そういった意味です。

 

 もとは、フランス語の「collge」で、貼り付けるという意味だそうです。なお、英語でも同じつづりの単語です。

 

 一般的にコラージュといえば、現代絵画の技法の1つを指します。コラージュとは、様々な素材(写真、絵画、新聞、植物片、立体物など)を組み合わせ(主に)平面に貼り付けること、または、その方法で制作された作品のことを言います。

 

 1910年代にピカソらが取り組み始めて、アート技法として広まっていたようです。特殊な技法のように思う方も多いかもしれませんが、世界中の美術館や展覧会でコラージュによる作品が見られるようになっています。

 

コラージュ療法とは

 「コラージュ療法」は、アートセラピー(芸術療法)の一種なので、コラージュ療法を説明する前に、アートセラピーについて説明したいと思います。

 

アートセラピーとは

 アートセラピーとは、様々な表現技法(音楽、絵画、ダンス)を用いて行われる心理療法(カウンセリング)の方法論です。通常の心理療法は、言葉を通して心を表現したり、心に働きかけたりして、心の成長や安定を図ります。

 

 アートセラピーでは、芸術的表現技法(アート)を通して心を表現したり、心に働きかけたりして、心の成長や安定を図ります。芸術的表現技法は、言葉よりも心の深い部分とつながっていることが多いので、アートセラピーは心理療法の一つの方法として使われているのです。

 

 アートセラピーは、効果も期待できるのですが、いくつかの欠点もあります。欠点の一つは、人によって不得意な方法があるため、それがハードルになってしまうということです。

 

 例えば、体を動かすことが嫌いな人は、ダンスセラピーには気持ちが向かわないと思われます。また、絵を描くことが不得意な人は、絵画療法(描画療法)には気持ちが向かないと思われます。

 

 アートセラピーは、その表現技法が上手かどうかとは、本来全く関係ありませんが、上手にできたかどうかにこだわってしまうと、心理療法としての効果も少なくなってしまいます。

 

コラージュ療法の特長

 つまり、コラージュ療法とは、アートセラピーの一種で、写真などを貼り付けるというコラージュ技法を通して行われる心理療法なのです。

 

 コラージュ療法はアートセラピーの良い面(心の深い部分とつながっている)を持っていますが、上に書いたようなアートセラピーの欠点が解消されています。つまり、上手下手、得意不得意ということがほとんど影響しないのです。

 

 コラージュ療法は、写真などを貼り付けるという方法で行いますので、絵の上手下手、得意不得意とは全く関係がありません。そのため、作品が出来上がった時に、自分の作品の出来栄えにがっかりしたりすることはほとんどありません。自分なりに気に入った作品が完成することが多いようです。

 

 また、作っている途中も、写真を切り取ったり、貼り付けたりという作業も楽しく感じる方が多いようです。

 

 以上の事から、コラージュ療法は次のような特徴があります。

  • 絵の上手下手とは関係がない
  • 楽しく取り組める
  • 気に入った作品ができる
  • 心の安定や成長につながる

コラージュ療法の方法

コラージュ療法の準備

 コラージュを作成するための材料として、不要になった雑誌やカタログ・パンフレットを用意します。3~5冊ぐらい必要です。

 

 また、貼り付けるための台紙として、四つ切や八つ切りの画用紙を準備します。台紙は、一般的に白い画用紙が使われますが、できれば、色画用紙も何種類か準備できるとよいと思います。

 

 また、道具として、ハサミとカッターナイフ、糊(スティックのり)が必要です。

 

コラージュの作成

 まず雑誌などから、好きな写真やイラスト、気になる写真やイラスト、目に留まる文字や言葉などを切り抜いていきます。「後でどんなふうに貼り付けようか?」などといったことは、あまり考えずに、どんどん切り抜いていくことがお勧めです。まだ、台紙は手元になくてOKです。

 

 ある程度、切り抜いたものがたまってきたら、台紙に貼り付けていく作業へ移ります。台紙のサイズや色を選んでから、その上に、切り抜きを並べてみます。まだ切り抜きは貼り付けないで、色々と考えてみることがお勧めです。

 

 並べてみて配置が決まったら、貼り付けていきます。貼り付けていく段階で、もっと切り抜きが欲しくなったりすることもあります。その場合も、自由に写真などを探す作業に戻ってかまいません。

 

詳しくは書きませんが、切り取るときや貼り付けるときなど、思いつくまま、思いついた方法で作業をしてかまいません。原則は、「台紙に貼る」ことですので、台紙と机にまたがって貼り付けるなどの方法は、避けてください。それ以外の場合には、自分の発想を大切にしてください。

 

コラージュを作成した後

 コラージュを作成した後には、少し離れた場所において眺めてみます。眺めながら、気づいたことや作成途中に考えたことなどを、色々と話し合っていきます。一般的には、分析したり解釈したりすることはあまりありません。

 

 作品は、ほとんどの場合、作成した人が持ち帰ります。

 

コラージュ療法の作品の分析や解釈

 コラージュ療法では、作品を作っていく過程そのものに意味があって、心理療法としての効果もその過程にあります。それに比べて、できあがった作品を分析したり、解釈したりすることは、あまり重要ではありません。

 

 作品を作っていく過程では、心がいろいろと動いていきます。その心が動いていくことを通して、自分自身の考え方が少しずつ変化したり、自分自身の気持ちが整理されたり、自分自身の感情が癒されたり、トラウマ的な記憶が整理されたりしてくるのです。作った後に分析・解釈するから、こういったことが起きるわけではありません。 

 

 そのため、作品が完成した後には、作品をあらためて眺めてみて、気づいたことや感じたことを話し合うことが一般的です。自分の心の中で生じたことを見つめなおしたり、確認したり、広げたり、深めたりすることにつながるからです。

 

 実は、下手に分析・解釈するとこういった大切な心の動きを台無しにしてしまう可能性があります。〇〇図式に当てはめて分析したり、象徴的な意味を当てはめて解釈したりすることは、アートセラピーの本質から考えると、あくまでも補助的なものです。

 

 余談ですが、分析や解釈に重きが置かれているカウンセラーやカウンセリングルームには、注意したほうが良いと思います。そのような場合には、作品作成のプロセスで心が成長しているのだと自分の心を深く信じていただきたいと思います。そして、カウンセラーやセラピストの言うことは、話半分に聞くぐらいがちょうどよいと思います。

 

「コラージュ療法」のイベント

  夏休み期間などには、コラージュ療法を体験できるイベントを開催しております。

次のページからイベントの様子をご参照ください。参加者の皆様の作品や感想もご覧いただけます。

 

 「コラージュ療法体験イベント 2018夏」の概要

 

 2018年8月10日「コラージュ療法体験イベント」報告

 

 2018年8月22日「コラージュ療法体験イベント」報告

コラージュ療法をご利用できます

 

 リソースポートでは、コラージュ療法をカウンセリングに取り入れております。

「子育て」に関係ない方や、「子育て」と関係のない悩みの場合でも、コラージュ療法を受け付けております。以下のページをご参照ください。

 自己肯定感を高めるコラージュ療法