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不登校の中学生が茨城県立高校の入試に合格する可能性を分析

 

中学校で不登校だった子どもたちもほとんど人が高校に進学します。

 

ところで、不登校の中学生は学校の欠席が多いため、調査書の評定合計(いわゆる内申点)が非常に低くなってしまうと考えられます。

 

また、学習の進度が追いついていないため、入試(学力検査)の得点も低くなってしまうことも多いと思われます。不登校の子どもたちは、高校入試で色々と不利な状況に置かれているのです。

 

そこで、茨城県立高校の入試について、「茨城県立高等学校入学者選抜実施細則」に書かれている選抜の方法と「令和3年度茨城県立高等学校入学者選抜実施状況報告書」に書かれている受験者や合格者のデータを元にして分析します。

 

目的としては、不登校の子どもたちの県立高校への合格の可能性について明らかにしたいと思います。

 

なお、実際の進路選択の場合には、所属中学校の先生とよく相談して決めてください。どの程度の成績を取れば、地域の高校に合格できるかという情報を中学校の先生は持っています。

 

注意事項

この文章は、高校の合否判定の実際をお伝えするものでなく、主として茨城県教育委員会が公開している資料に基づいて考察したものです。

 

筆者は高等学校の実際の合否判定がどのように行われているかを知る立場にありません。もし、実際を知る立場にいたら、こういった考察を行って、ブログ記事として公開することは守秘義務違反となるため、不可能だったと考えられます。合否判定の実際を知らない立場だからこそ、公開資料をもとに考察することが可能なのです。

 

こういった背景をご理解いただき、不登校の中学生が県立高校進学を目指すときの参考としていただけると幸いです。

 

入学願書

合格者の決め方から不登校の中学生の茨城県立高校合格を考える

令和4年度茨城県立高等学校入学者選抜実施細則」を元に解説します。

 

茨城県では、入試の得点と内申点(調査書の評定合計)の2種類の点数を使って、合格者を決めています。最初に、特色選抜の合格者が決定されます。その後で、A群合格者が決定されます。そして、B群合格者が決定されます。

 

各学校で特色選抜による合格者は数名ですので、大勢にはあまり影響がありません。特色選抜も含めて説明すると非常に煩雑になりますので、特色選抜はないものとして説明を行います。

 

 

A群合格者について

A群合格者は、以下のようなルールで決められます。

まず、入試の得点の高い順に試験を受けた受検者全員を並べます。その上位者から定員の80%のところまでが入試得点の合格ラインです。次に、内申点を高い順に受検者を並べます。その上位者から定員の人数までが内申点の合格のラインです。

 

入試得点の合格ラインと内申点の合格ラインの両方を超えた受検者は合格となります。実施細則には、「原則として合格とする」と書かれています。「原則として」という文言は、特別な場合の裁量の余地を残すための文言ですので、あまり深く考える必要はありません。

 

後で説明しますがB群では「合格者を決定する」と書かれています。高校側が、B群の合格者は定められた基準に則って「決定する」ということです。反対に、A群合格者では「原則として合格とする」と書かれていますので、A群合格者は、点数順に機械的に決まると考えられます。

 

不登校の中学生がA群で合格する可能性

不登校の中学生は内申点が低い場合が多く、内申点の合格ラインを超えることが難しいと思います。一般的にA群合格は難しいと考えられます。

 

B群合格者について

 

B群合格者は、2つの決め方があります。入試得点を重視して決定される合格者と、調査書の記録を重視して決定される合格者の2通りです。この2通りの合格者の割合は、各高校が事前に決めています。

 

【入試得点を重視して決定される合格者】:【調査書の記録を重視して決定される合格者】の比は、[80:20]から[20:80]まで様々です。多くの高校は、[80:20]か[70:30]です。

 

ポイントは、「○○の結果を重視した選抜により、合格者を決定する」と書かれている点です。上位者から順に定められた人数まで合格とするというわけではないのです。

 

これは、どういうことか説明します。B群合格者のうちの入試得点を重視して決定される場合、ごく少数の受検者の得点が他の受検者の得点と大きく差がある場合には、B群合格者の人数に余裕があっても合格とならない可能性があるということです。

 

具体的に表を使って説明します。

 

B群で入試得点を重視して合格とする人数が8名まで可能だとします。以下の表のようになった場合を考えます。

順位 名前 入試得点 得点差
 1 Aさん 226
 2 Bさん 224 2
 2 Cさん 224 0

 4

Dさん 220 4
 5 Eさん 219 1
 6 Fさん 201 18
 7 Gさん 200 1
 8 Hさん 198 2
 9 Iさn 197 1
10 jさん

195

2

8名まで合格とすることが可能ですが、8位のHさんと9位のIさんの得点差は1点しかありません。その上を見ても、6位のFさんと7位のGさんの得点差は1点、7位のGさんと8位のHさんの得点差は2点です。1点や2点の得点の違いで学力の本質的な違いがあると考えることは難しいです。そのため、上位から8名を機械的に合格と決定することは難しいと考えることもできます。

 

ところで、5位Eさんとと6位のFさんの得点差は、18点です。1点や2点の違いのところで線引きをするよりも、18点の違いのところで線引きをする方が合理的だという考え方もできます。

 

この場合、8名の合格者枠に対して、5名が合格となります。そのため、定員を満たすことができないため、二次募集を行うことになります。

 

もともと受検者が定員より少なかった場合、つまり、定員割れの場合、もともと二次募集をすることが決まっています。B群の合格者が数名少なくなったとしても、本質的な問題は生じません。その場合には、得点の開きが大きい場所で合格ラインを引き、不合格者と出すことが考えられます。

 

こういった方法をとると、入学者の学業成績を一定水準に保つことがある程度できます。そのため、高校側にもメリットがあります。そのため、こういった方法がとられる可能性は十分にあると考えられます。

 

次に、調査書の記録を重視して決定される合格者について解説します。「調査書の内容を重視して」と書かれています。「調査書の評定合計を重視して」とは書かれていないのです。つまり、内申点(評定合計)だけではなく調査書に書かれている内容(文章)をもとに合格者が決定されます。

 

内申点が高い方から合格者が決定されるわけではありません。調査書の記載事項を総合的に判断して、高校側が合格者を決定していると考えられます。

 

不登校の中学生がB群で合格する可能性

不登校の中学生は内申点では不利ですが、本番の入試でしっかりと点数が取れれば、入試得点を重視して決定される合格者として合格することが十分に可能です。ただし、多くの受検者との入試得点の差が大きい場合は、不合格となってしまう可能性もあります。

 

不登校の中学生は、内申点では不利です。例えば、英語が非常に得意でも、出席や課題の提出ができていなければ、調査書の評定は低くなります。調査書の評定を元に合格を勝ち取ることは難しいのです。

 

しかし、例えば英語が得意な場合には、それを生かして、英検2級をとっていれば、調査書に書いてもらうことができます。また、絵や文章が得意な場合には、何らかのコンクールに応募して入賞した記録も調査書に書いてもらうことができます。

 

調査書では、評定(内申点)を重視するよりも、自分の趣味や特技を生かして調査書に記載できるような成果を上げることを重視する方が合格に近づく可能性が高いと考えられます。

 

令和4年度茨城県立高等学校入学者選抜実施細則は以下のリンク先からご参照ください。

 

 令和4年度茨城県立高等学校入学者選抜実施細則(茨城県教育委員会)

 

 

実際の合格者の得点から不登校の中学生の茨城県立高校合格を考える

令和3年度茨城県立高等学校入学者選抜実施状況報告書」から考えて行きます。

 

この資料には、各高校の学科別の募集定員や志願者数、合格者数が報告されています。また、茨城県全体の高校入試の得点について、志願者全体での得点分布や合格者全体での得点分布が報告されています。

 

入試得点と合格者数・合格率

得点(点)

受検者の人数(人) 合格者の人数(人) 合格率(%)

0~20

1

0 0.0
21~60 89 63 70.8
61~100

675

621 92.0
101~140 1228 1170 95.3
141~180 1692 1611 95.2
181~220 1983 1849 93.2
221~260 2305 2088 90.6
261~300 2446 2253 92.1
301~340 2355 2116 89.8
341~380 2050 1924 93.9
381~420 1619 1450 89.6
421~460 771 771 100.0
461~500 43 43 100.0
合計人数 17257 15959 92.5

※合格率の表示は、元の資料にはありません。受検者の人数と合格者の人数から計算した値を表に加えました。

※表にはありませんが、全受検者では入試得点の最低点は20点で、合格者では最低点は37点とのことでした。

 

この得点の分布は極めて興味深い内容となっています。入試得点が20点以下の場合、合格率は0%となっています。21点以上を取ることが合格するためには絶対に必要です。

 

また、21~60点の得点の場合には、合格率が約70%です。それ以外の得点では、合格率が概ね90%以上となっています。合格率の差が20%もあるのです。

 

このことから考えると、茨城県立高校に合格するためには、入試得点を最低でも61点は取ることが必要だと言えます。

 

また、421点以上の入試得点の人は、全員が合格しています。上記のように、B群合格者の中の入試得点を重視する方法では、入試得点が十分に高ければ合格する可能性があります。421点以上取れば、不登校の中学生も茨城県立高校に合格する可能性は極めて高いと考えられます。

 

ところで、各県立高校には難易度に差があります。合格するために必要な得点は各高校で違いがあります。例えば【高校入試ドットネット[茨城県]】というサイトでは、各高校の学科別に、合格点が書かれています。

 

なお、このサイトには注意事項として「偏差値・合格点に関しましては、当サイトの調査に基づくものとなっています。実際の偏差値・合格点とは異なります。ご了承ください。」と書かれており、数値は参考程度に留めることが必要です。

 

そのサイトを見ていくと、茨城県立高校の合格点で最も低い数値は185点でした。上記のように、茨城県教育委員会による報告書では、21~60点での合格者が63人、61~100点での合格者が621人でした。つまり、100点以下でも茨城県立高校に合格した人が684人いるのです。一般に言われている合格点に届かなくても、合格する可能性があることが分かります。

 

このことからさらに考察を深めていくために、実際の高校の募集定員と志願者数、合格者数を見ていきます。

 

定員と志願者数、合格者数から不登校の中学生の茨城県立高校合格を考える

前項の同様に、「令和3年度茨城県立高等学校入学者選抜実施状況報告書」から考えて行きます。

 

具体例として、水海道二高普通科をもとに考えます。

 

水海道二高普通科は、【高校入試ドットネット[茨城県]】というサイトでは、偏差値50、合格点290点とされています。またB群の合格者は、学力検査重視:調査書重視=80:20の割合となっています。

募集定員 120人

志願者数 117人

合格者数 114人 ※2次募集が行われました

となっています。

 

志願者数が募集定員より少なくなっていて、いわゆる定員割れの状態でした。人数だけで考えると、全員合格させても良いのですが、3名が不合格となっています。なお、募集定員より志願者が少ないというのは、非常に重要なポイントです。

 

不登校の中学生の場合、内申点が低い可能性があるため不利になります。内申点は、A群合格者を決める時に関わってきます。内申点の高い順に受検者を並べ、その上位者から定員の人数までが内申点の合格のラインです。

 

志願者が募集定員より少ない場合は、内申点を順に並べても志願者全員が募集定員の人数内になります。つまり、内申点が受検者の中で最も低かったとしても、内申点の合格ラインは必ず超えるのです。そのため、不登校の中学生が内申点が取れないために不利になるということがありません。

 

ただ、募集定員よりも志願者が少ないのですが、3名が不合格となっています。定員割れ状態だったため、二次募集をすることは最初から決まっていたと考えられます。そのため、B群合格者を決める際に、基準を厳しくして不合格者を出しても、特に困ることは起きません。そこで、基準を少し厳しくして、入試得点に開きが出ている箇所で合格ラインを設定したのかもしれません。

 

以上のように、定員割れとなっている高校では、不登校の中学生は内申点が低いという不利な立場はなくなります。しかし、定員割れをしているから必ず入れるというわけではなく、入試得点が多くの志願者から引き離されていた場合には、不合格となってしまう可能性があります。

 

なお、中堅の高校では、入試の際に定員割れとなっている高校は沢山あります。そういった高校では、多くの場合、水海道二高と同じように、数名を不合格としています。

 

不登校の中学生が県立高校合格を目指す場合には、志願する高校が定員割れとなっているかどうかには、特に注目してみることが大切だと思います。

 

 

まとめ

 

不登校の中学生も茨城県立高校に合格する可能性は十分にあります。不登校から茨城県立高校の合格を目指す場合、内申点を少しでも高くしようと考えるよりも、本番の入学試験で点数を取ることを目指す方が合格の可能性が高くなります。

 

また、調査書の内容については、評定(内申点)を高くしようと頑張ることよりも、調査書に書けるような成果を上げることが可能性を広げます。英検などの検定試験合格や得意な活動でのコンクール入賞などを調査書に書いてもらうことで、B群合格の時の判断材料になる可能性があります。

 

なお、実際の進路選択の場合には、所属中学校の先生とよく相談して決めてください。どの程度の成績を取れば、地域の高校に合格できるかという情報を中学校の先生は持っています。

 

注意事項

この文章は、高校の合否判定の実際をお伝えするものでなく、主として茨城県教育委員会が公開している資料に基づいて考察したものです。

 

筆者は高等学校の実際の合否判定がどのように行われているかを知る立場にありません。もし、実際を知る立場にいたら、こういった考察を行って、ブログ記事として公開することは守秘義務違反となるため、不可能だったと考えられます。合否判定の実際を知らない立場だからこそ、公開資料をもとに考察することが可能なのです。

 

こういった背景をご理解いただき、不登校の中学生が県立高校進学を目指すときの参考としていただけると幸いです。