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教室に入りづらい子どもたちが利用している「別室登校」とは

 

不登校の小中学生が増えているというニュースが毎年のように聞かれます。令和2年度の文部科学省の統計(令和3年10月発表)によれば、小・中学校における長期欠席者数は287,747人(前年度252,825人)。このうち不登校によるものは196,127人(前年度181,272人),新型コロナウイルスの感染回避によるものは20,905人となっているということです。

約20万人もの子どもたちが不登校状態になっていますので、特別な問題というわけではありません。不登校の子どもたちを適切に支援していかなくてはならないと言えます。不登校の子どもたちは、一人一人の状況や状態が様々ですので、その子どもにあわせてサポートしていくことが必要です。

 

不登校の子どもたちのサポートとして、「別室登校」が注目されています。

 

別室登校とは

 

別室登校とは、教室に行きづらい子どもたちが、教室ではなく【別室】に通ってきてそこで、学習をしたり友だちと交流したり、先生から支援を受けたりする仕組みです。通ってくる【別室】とは、保健室だったり、図書室だったり、空き教室をそのために使用したりすることが多いと思います。

 

コロナ禍で、感染予防の意味もあって、保健室への出入りが制限されることも多いので、保健室を別室登校に利用することは少なくなったと思われます。

 

実際上、ほとんどの中学校で多かれ少なかれ別室登校をしている子どもはいるのではないかと思われます。

 

自習をする小学生

適応指導教室とはちがうの?

 

適応指導教室(教育支援センター)は、市町村の教育委員会が設けている学校外の機関です。不登校の子どもたちや学校に行きづらい子どもたちが、日中に通ってきて、学習をしたり、友だちと交流したり、スタッフ(先生)から支援を受けたりすることができます。

 

言わば、公的なフリースクールです。でも、教育委員会が設けて、学校へ戻ることが一つの目標になっていることもあるので、学校に近い雰囲気のことも多く一般のフリースクールとはまた性格が少し違います。

 

色々な選択肢があることが大切

 

学校に行きづらい子どもたちは、それぞれで色々な状態・状況です。家から外出すること自体に負担がある場合、学校に行くことに負担がある場合、教室に行くことに負担がある場合など様々です。

 

それぞれの状態・状況や子ども自身の考え、保護者の考えが様々ですので、選択肢が色々あることは、大切だと思います。

 

学校に行くこと自体はそれほど大変ではないけれども、教室へ行くことが難しい場合は、学校の別室登校がピッタリです。

 

学校に行くことに負担がある場合は、例えば、フリースクールや適応指導教室(教育支援センター)などの学校外の機関が利用しやすいかもしれません。でも、そういった学校外の機関は自宅から徒歩や自転車で通えるような距離にないことも多いと思います。そういう場合も、別室登校を少しだけ利用することも良いかもしれません。

 

別室登校の一日

 

別室登校をしている子どもたちは、自分のペースで登校してきます。必ずしも、毎日登校してくるわけではありませんし、朝から夕方まで学校(別室)で過ごすわけでもありません。

 

一番多いパターンは、朝の登校時間を過ぎて、1時間目か2時間目の授業をやっている時間に登校してくるというパターンです。朝の登校時間や休み時間は、子どもたちが動いています。他の子どもとの接触を避けるためには、授業時間中に別室に登校してくるのは良い方法だと思います。

 

クラスのみんなが使っている昇降口から入って、自分の下駄箱に靴を入れて来る子どももいます。上履きを毎日持参するか、どこか別の場所に置いておいて外履きから履き替える子どももいます。

 

帰りは、給食を食べて5時間目の間に帰る、または、給食を食べる前の4時間目の間に帰るというパターンが多いように思います。また、中学生の場合、部活動に出たい子どももいます。そういう生徒は、放課後になったら別室登校から部活動に向かいます。

 

別室では、自習をしている時間が長いと思います。学校では空き時間の先生が今は非常に少ないため、先生方も別室登校の子どもたちに関わりたくても関わるゆとりがない現状があります。そのため、どうしても自習が多くなってしまいます。

 

保健室の先生(養護教諭)もコロナ禍の影響で、忙しくなっているので、なかなか時間が取りにくいように思います。

 

それでも、先生方は子どもたちとおしゃべりをしたり、学習のサポートをしたりするために、少しずつ時間を見つけて別室登校の場所に来るようにしています。

 

別室登校が子どもたちの成長につながるために

 

まず大切なことは、その子どもが一番安心できる方法で、別室登校ができるように工夫することだと思います。

 

教室に行きづらくなってしまうのは、様々な理由があります。過去にいじめ被害があり、教室のちょっとした場面で不安が出てきて教室に居づらくなってしまう場合があります。また、いわゆるHSP子どもたちの場合は、感覚過敏が強く教室の環境が辛い場合もあります。こういった場合には、別室登校は一つの良い選択肢です。

 

なお、いじめの被害があるために教室に行きづらく別室登校をしている場合もあります。本来は、いじめ加害の子どもを別室登校にするべきだと思いますが、現状としてそういう対応は少ないと思います。いじめ被害を子どもが訴えていない場合や、加害者への指導を望んでいない場合もあります。色々な理由から、現実としていじめ被害を避けるために別室登校をしている場合があるのです。

 

こういったことから、まずはその子どもが一番安心できるような方法を工夫して、別室登校をできるようにすることが大切だと思います。そのためには、登校や下校の時間や方法を工夫することは非常に大切です。また、給食の時間をどうするかも非常に大切です。子ども本人とよく話し合いながら具体的な方法を決めていくことが必要だと思います。

 

また、別室登校をして過ごす時間が少しでも充実した時間になるように、過ごし方を工夫することが大切です。できるだけ、子どもにあわせてその子どもが楽しめる活動を取り入れることが良いと思います。

 

先生がおしゃべりをするような時間を確保することも大切です。トランプなどのちょっとしたゲームをできる時間を設けることも良いかもしれません。人と一緒にゲームをする中で学ぶことは本当にたくさんあります。

 

理科の実験や家庭科の実習などは、別室登校をしている子どもたちにも実習や体験できるようにすることも良いと思います。

 

別室登校するようになると、先生も保護者もついつい「時間が増えるように」、「登校日数が増えるように」と考えがちです。それよりも、まずは登下校や別室で過ごすときに安心感が増えることを目指すことが大切です。安心感が増えてくれば、自然と日数や時間が増えたり、学校内での活動場所が増えたりしてくると思います。

 

別室登校の子どもを保護者がサポートするには

 

別室登校は、決まった形がありません。いつ登校下校するか、どんなふうに過ごすかなどが、状況や子どもたちの思い応じて良い方法を考えることが大切です。学校側は、人手不足もあって、子どもたちの状況や思いに応えることが難しい状況もあります。

 

また、決まった形がないということは、いつもどう行動したらよいか考えたり、迷ったりしながら別室登校の教室で過ごしているということです。それは、心理的には意外と疲れる事だと思います。

 

そのため、子どもたちは別室登校をしていても、居心地が悪かったり、寂しい思い辛い思いを感じたりしていることがあります。

 

保護者は、まずは子どもたちの気持ちを受け止めつつサポートすることが大切だと思います。それが安心感につながります。その上で、子どもたちから状況や思いを聞いて、学校へ伝えていくことも必要だと思います。さらに安心感を高めていくことができると思います。

 

学校には人的なサポートが必要

 

学校の先生方が激務の中、長時間労働を余儀なくされていることが広く知られるようになりました。そもそも先生が足りないため、教務主任や教頭先生が臨時的な担任をしていたり、授業を受け持ったりしていることもあります。

 

そういう中で、別室登校の子どもたちのサポートをしっかりと行うことは極めて難しいと言わざるを得ません。ほとんどの学校で、別室登校をしている子どもがいると思います。サポートできるような人を配置できるように、予算措置を行うべきだと思います。

 

茨城県守谷市の取り組み

 

リソースポートのある茨城県守谷市では、令和4年度から全ての中学校に「支援教室」(別室登校の教室)を設けることになったということです。「教員OBを配置し、悩みの相談や学習支援、担任や家庭との連絡調整などにあたる。」ということです。

素晴らしい取り組みだと思います。個人的な意見を言えば、教員OBではなく、公認心理師や臨床心理士の心理職を配置してほしかったと思います。

 

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