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「なぞなぞ」はすごい

なぞなぞ
なぞなぞ

 いろんな学校にスクールカウンセラーとして勤務しています。給食の時間は、教室に行って子どもたちと一緒に給食を食べることもよくあります。

 

 その給食の時間に、ある小学校で、印象深い出来事がありました。そのクラスは、どちらかというと落ち着きがないクラスでした。ちょっとしたことで騒いだりする子どもが数名いて、授業中もなかなか集中して課題に取り組めない様子を何度か見かけていました。ある程度、小学生の子どもが落ち着きがないことは自然なのですが、集中するときは集中して、楽しくやるときは楽しくやるというメリハリがつけられるのが理想ですね。

 

 そのクラスで、給食を食べた時に、やはりなんだか騒々しい感じで、隣に座っている子ども同士話をする感じではなく、教室の端と端で大声で話したりする状態でした。それが、あることをきっかけにシーンとして集中して、ほとんどの子どもが話に耳を傾けていました。

 

 それが、お昼の放送の「なぞなぞ」でした。お昼の放送が始まっても、大声でしゃべっている子どももいました。多分、放送がその子には聞こえていなかったのだと思います。でも、別の子どもが「なぞなぞだよ!」と注意すると、すぐにしゃべるのをやめて、お昼の放送の「なぞなぞ」に耳を傾けていました。

 

 「なぞなぞ」が子どもを引き付ける力の大きさに大変驚きました。一生懸命耳を傾けて、頭を働かせることは、きっと知的な能力(特に拡散的思考)を発達させるのではないかと思いました。

 

子どもと「なぞなぞ」を楽しもう

 ぜひ、「なぞなぞ」の持つ素晴らしい力を子育てに活用したらよいのではないかと思います。「なぞなぞ」は、自然と相手の言葉に集中して聴きとって、それを必死で考えることになります。

 

 人の話を聴いて考える力を伸ばしたり、語彙を増やしたり、知識が増えたり、物事の関連に気づいたりなど、知識と思考力を鍛えてくれるのではないかと思います。

 

 そして、何よりも大切なことは、「なぞなぞ」は楽しいということです。「楽しもう」などと思わなくても、自然に楽しむことができることが、素晴らしいと思います。

 

 

「なぞなぞ」のキモはコミュニケーション

 

 「なぞなぞ」の素晴らしい力が発揮されるのは、「なぞなぞ」を出したり出されたりするコミュニケーションの中です。

 

 お子様が「なぞなぞ」に答える側の場合、一生懸命に考えることそのものが、お子様のプラスになります。また、どうしても「なぞなぞ」が解けないときに、「ヒント出して」などと、お願いすることがあると思います。「ヒントだして」などと、相手に、一生懸命にお願いすることも、一つの自己主張です。人とコミュニケーションする力が自然に育つ良い機会になると思います。

 

 また、反対にお子様が「なぞなぞ」を出す側の場合、相手から「ヒント出して」と要望された時に、相手に合わせて難しすぎず、簡単すぎないヒントを考えることも、子どもの力が伸びるために大変プラスです。相手の気持ちや考え方を想像しながら、コミュニケーションをとることにつながります。

 

 こんなふうに考えると、「なぞなぞ」の一番大切なところは、「なぞなぞ」を出し合うコミュニケーションの中にあるということがわかります。

 

 「なぞなぞ」の本を読んで、一人で考えて、答え合わせをするような方法では、「なぞなぞ」の力が上手く発揮されないのです。もし、お子様が「なぞなぞ」の本を読んでいたら、ぜひ、1つでも2つでも「なぞなぞ」を出してもらってください。

 

 

辞書を使って上級編の「なぞなぞ」を

 

 お子様が、小学校の高学年ぐらいになってくると、ある程度、「なぞなぞ」をやりつくしてしまって、新しい問題に出会えず、楽しさが減ってしまっているのかもしれません。一般的な「なぞなぞ」には、あまり乗ってこなくなると思います。

 

 でも、上級編の「なぞなぞ」があります。それは、辞書を活用する方法です。国語辞典を用意します。出題者は、その国語辞典から言葉(単語)を一つ選んで、その言葉(単語)を言わずに、辞書に書いてある意味(説明)を読み上げます。回答者は、その言葉(単語)を当てるのです。

 

 中学生ぐらいでも、親子で一緒に、問題を出し合って楽しくやり取りをすることができると思います。上に書いたような「なぞなぞ」の持つ利点はそのままで、もっと知的な遊びを楽しむことができます。

  

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 親の子どもの頃の話は、子どもは意外と知らないものですが、大変興味をもっています。色々と話すきっかけとして、親の子どもの頃の話は、ちょうど良い入り口になります。

 

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