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公認心理師と臨床心理士のこれからを予想する

 

第1回の公認心理師の試験が終了し、合格発表が行われました。受験者数は 35,020人で、合格者数は 27,876人で、合格率 79.6%とのことです。

 

まだまだ、公認心理士や臨床心理士の未来は未知数ですが、分かっている状況を整理しておきます。

 

カウンセリング

スクールカウンセラー

 スクールカウンセラーは、教育支援体制整備事業費補助金(いじめ対策・不登校支援等総合推進事業)交付要綱第20条の規定に基づき、「スクールカウンセラー等活用事業」として行われています。その実施要領が2018(平成30)年4月1日に改正され、公認心理師についての規定が加えられています。その部分を下にコピーしておきます。

 

3 スクールカウンセラー等の選考

(1) スクールカウンセラーの選考

  次の各号のいずれかに該当する者から、実績も踏まえ、都道府県又は指定都市が選考し、スクールカウンセラーとして認めた者とする。

  1. 公認心理師
  2. 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士
  3. 精神科医
  4. 児童生徒の心理に関して高度に専門的な知識及び経験を有し、学校教育法第1条に規定する大学の学長、副学長、学部長、教授、准教授、講師(常時勤務をする者に限る)又は助教の職にある者又はあった者
  5. 都道府県又は指定都市が上記の各者と同等以上の知識及び経験を有すると認めた者

 スクールカウンセラーを選考する際の資格要件として、第1番目に「公認心理師」が書かれています。これは、平成30年4月1日に付け加えられています。

 それ以前は、第1番目は、「1. 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士」となっていて、次に「2. 精神科医」となっていて、全部で4項目でした。

 平成30年4月は、公認心理師法は施行されていましたが、まだ第1回目の公認心理師の試験も行われていない段階(つまり、公認心理師はまだ一人もいない段階)でした。そのため、この段階で公認心理師についての規定が書き加えられたのは、スクールカウンセラーに関して公認心理師へと移行が重視されている印象があります。

 

 公認心理師の受験に関しては、移行期間として5年間が設定されていて、その間は現任者が受験することができます。その期間を踏まえて考えると、文部科学省は5年後には、「2. 公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の認定に係る臨床心理士」という項目を削除するのではないかと、個人的に予想しています。

 

 

実施要領については、以下のリンクを参照してください。

スクールカウンセラー等活用事業実施要領

 

 

病院のカウンセラー

 

 学校にはスクールカウンセラーという心理職がいました。病院にも、心理職がいることがあります。職名は「臨床心理士」や「心理カウンセラー」など色々です。

 病院での診療については、診療報酬が定められています。診療はその診療報酬に基づいて行われています。今までは、心理学に関する専門職として心理に関する専門課程を修了した者等を「臨

床心理技術者」として評価して診療報酬が算定されていました。これからは、公認心理師が診療報酬にどんなふうに位置づけられていくのかということがポイントになります。そこで、診療報酬を見てみたいと思います。

 

厚生労働省にある以下の資料から、公認心理師に関する診療報酬について見てみます。

平成30年度診療報酬改定の概要

 

平成30年度診療報酬改定

(1) 公認心理師の評価

 公認心理師に関する国家試験が開始されることを踏まえ、診療報酬上評価する心理職につい

ては、経過措置を設けた上で、「公認心理師」に統一する。

 最初の国家試験が行われる平成 30年度については、従来の「臨床心理技術者」に該当する者

を、公認心理師とみなす。

 平成 31年度以降、当面の間、以下のいずれかに該当する者を公認心理師とみなす。

 (1) 平成 31年3月末まで保険医療機関で従事していた臨床心理技術者

 (2) 平成 31年4月以降新たに臨床心理技術者として従事する者のうち公認心理師の

  受験資格を有する者

平成30年度診療報酬改定の概要から公認心理師に関する解説

 

 上の資料からハッキリわかりますが、病院で心理職として働くためには、公認心理師が絶対的に必要ということになりました。今のところは、公認心理師ではない人も、今年(平成31年)の3月末まで、病院で心理職として働いていた人は公認心理師と同等ですし、公認心理士の受験資格のある人も公認心理師と同等です。しかし、これは経過措置です。

 ところで、経過措置の期間は明確になっていません。公認心理師の受験に関する経過措置(5年間)と同じ期間(つまり5年間)になるのではないかと言われています。

 

 つまり、これから病院で心理職として仕事をするためには、公認心理師の資格を取得することが絶対的に必要なのです。

 

民間のカウンセリングルーム

平成30年11月30日に第1回の公認心理師は、「名称独占」という資格ですので、公認心理師でなければカウンセラーとして活動できないということではありません。つまり、臨床心理師でなくても、公認心理師でなくても、「カウンセラー」として、民間のカウンセリングルームで活動することはできるのです。

 

 公認心理師が誕生する以前も、臨床心理士ではないカウンセラーが民間のカウンセリングルームで活動していました。こういったカウンセラーのうちの多くのカウンセラーは、公認心理師の経過措置として受験資格が得られて、公認心理師を受験して公認心理師となったのではないかと思われます。

 

 

 余談ですが、もし、民間のカウンセリングルームを利用する場合には、(少なくともこれから数年間は)臨床心理士で公認心理師というダブル資格のカウンセラーに相談することが良いのではないかと個人的には思います。公認心理師があるだけでは、専門的なトレーニングを受けてカウンセラーとして働いてきたかどうかが分からないからです。