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スクールカウンセラーの歴史

 

 学校にスクールカウンセラーがいることが、ごく普通になってきたように思います。最初は、各県に3校だけでスタートしたのですが、20年以上かかって少しずつ広がってきたのです。

 

 スクールカウンセラーの歴史を簡単に振り返ってみたいと思います。

 

 

学校の教室

 

活用調査研究の時代

 

1995年

スクールカウンセラーは、不登校などの児童生徒の問題行動等への対応として1995年から「スクールカウンセラー活用調査研究」委託事業として開始されました。1995年度(初年度)には各県に3校程度の配置で、全国では154校への配置でした。

 

調査研究という位置づけでしたので、2年間でスクールカウンセラーの活用について実践的な研究を行うというものでした。2年が経過すると、その学校ではスクールカウンセラーは配置されなくなりました。

 

次の年以降も「スクールカウンセラー活用調査研究」委託事業は続けられ、配置校の数は、各県10校程度に増えていきました。しかし、2年の調査研究期間が過ぎればその学校からはスクールカウンセラーはいなくなってしまうという状況が続きました。

 

1998年

1998年の中央教育審議会答申では、「すべての子どもがスクールカウンセラーに相談できる機会を設けていくことが望ましい」と述べられました。それを受けてそれ以降も配置は増加していきました。

 

2000年

2000年度(6年目)には初年度の14.6倍の2250校に配置されました。

 

 

活用事業の時代

 

2001年

2001年度からは国による補助事業という位置づけで「スクールカウンセラー等活用事業」として中学校を中心として全国で4406校に配置されました。また、調査研究委託事業ではなくなったため、2年間の縛りはなくなりました。

 

2007年

2007年度には、公立中学校全校分に相当する約1万校の配置が可能となるよう予算が措置されました。なお、中学校に配置するための予算を、小学校や高等学校へ配置するスクールカウンセラーに振り向ける場合が、都道府県によってはありました。そのため、全国の全ての公立中学校にスクールカウンセラーが配置されたわけではありません。

 

2008年

2008年の教育振興基本計画(文部科学省)では、「いじめ,暴力行為,不登校,少年非行,自殺等に対する取組の推進」として、「教育相談を必要とするすべての小・中学生が適切な教育相談等を受けることができるよう,スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の活用など教育相談体制の整備を支援する」と述べられています。

 

2014年

2014年には、スクールカウンセラーは、小学校では58.7%、中学校では91.8%、高等学校では78.8%の学校に配置されています(平成26年度学校保健調査)。なお、週に4時間以上となる配置は、小学校では14.2%、中学校では62.8%、高等学校では32.3%でした。

 

この頃になると、都道府県によって、スクールカウンセラーを配置する方法がさまざまにってきています。学校での勤務時間も4時間や6時間、7時間、8時間などさまざまです。また、勤務回数も、年に数回程度の巡回から毎週の勤務までさまざまです。

  

特筆すべき事は名古屋市のスクールカウンセラー制度です。名古屋市では、「なごや子ども応援委員会」職員として、常勤のスクールカウンセラーを11のブロック毎に配置する独自の事業が開始されました。少しずつ常勤のスクールカウンセラーの配置校を増やしていく計画ということです。

 

チーム学校の時代

 

2015年

2015年には中央教育審議会による「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」が提出され、「チームとしての学校」、いわゆる「チーム学校」の重要性が指摘されました。

 

その中では、いじめ・不登校などの生徒指導上の課題や特別支援教育の充実、貧困問題への対応など、学校の抱える課題の複雑化・多様化、学校に求められる役割の拡大に伴い、心理や福祉等の専門性が求められています。

 

心理職であるスクールカウンセラーも「チーム学校」の一員として学校の中で機能することが求められるようになりました。

 

なお、答申の中では、「スクールカウンセラーを学校等において必要とされる標準的な職として、職務内容等を法令上、明確化することを検討する。」とスクールカウンセラーの位置づけを明確にするよう方向性が示されています。

 

2017年

2017年4月1日の学校教育法施行規則の改正で第65条にスクールカウンセラーは「心理に関する支援に従事する」として職務が規定されました。今まで、スクールカウンセラーの存在は法令の中には規定されていませんでいたので、これは大きな変化です。

 

2018年

2018(平成30)年4月1日にスクールカウンセラー活用事業の実施要領が改正され、公認心理師についての規定が加えられています。それまでは、スクールカウンセラーの選考に関して、第1番目に臨床心理士が挙げられていましたが、第1番目には、公認心理師が加えられました。なお、臨床心理士は2番目に書かれています。

 

この年の9月に第1回公認心理師試験が実施されました。

 

2019年

2019年の2月に公認心理師登録証の発送が開始されました。公認心理師が誕生しました。

 

2019年には、スクールカウンセラーは、小学校では84.7%、中学校では97.6%、高等学校では91.3%の学校に配置されています(令和元年学校保健調査)。なお、週に4時間以上となる配置は、小学校では22.7%、中学校では66.7%、高等学校では43.8%でした。

 

名古屋市の「なごや子ども応援委員会」職員である常勤のスクールカウンセラーは、名古屋市内全ての中学校110校に常勤で配置されました。

 

 

 

この記事は、半田一郎(公認心理師、臨床心理士、学校心理士スーパーバイザー)が作成しました。

 

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スクールカウンセラーの募集と待遇

 スクールカウンセラーの年収を実際の募集情報をもとに考えてみました。

 

スクールカウンセラーの配置状況

 スクールカウンセラーの配置状況を都道府県毎に整理してみました。