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子どものトラウマを癒やす

お子様がつらい出来事に遭遇し、それがトラウマとなってお子様を苦しめ続けてしまうことがあります。トラウマはお子様の心の中にあるため、周りの大人が気づくことが難しい場合がほとんどです。トラウマは、様々な形で子どもたちの態度や行動に表れてきます。まずは、周囲の大人がトラウマによって苦しんでいるかもしれないと想像してみることがスタートです。

 

 

子どもと母親

トラウマの影響が心配される場合

 

例えば、リストカットをやめられないお子様の場合、心にトラウマを抱えていることが多いと思います。

 

また、ゲームをやりすぎてしまうときもトラウマの影響を考えてみることが大切です。話し合って決めたルールが守れず、何度言ってゲームをやめられないことがあります。やめさせると、イライラがおさまらず暴言や暴力が出てくることも多いかもしれません。

 

こういった場合も、トラウマの影響を受けている場合があります。

 

どちらの場合も、良い子モードの自分と悪い子モードの自分という両極端なモードの自分が切り替わるように現れてきています。これは、危機状態の中で緊急避難的に心の一部を切り離して守るシステムである【解離】が働いているために生じている現象です。

 

本来、【解離】は危機対応システムで、いざという時だけに使われる仕組みです。しかし、日常的につらい体験が続く場合には、何度も繰り返し心の一部が切り離される(解離させる)ことが続きます。

 

それによって、心が、良い子モードの自分と悪い子モードの自分に切り離されてしまい、2つのモードが少しずつ固定化してしまいます。

 

保護者としてどう対応するか

 

保護者様が、お子様のトラウマを癒やしていくためには、次のような順序で対応していくことをお勧めします。

  1. ・大人がメカニズムを理解する
  2. ・子どもが自分の様々な感情に気づく
  3. ・子どもが大人と一緒に自分の心に目を向ける

 

大人がトラウマのメカニズムを理解する

 

まずは、トラウマによって辛い感情が生じてくるメカニズムについて理解することが大切です。

 

リソースポートでは、大人が自分のトラウマの影響に適切に対処する方法を紹介しております。以下の記事をご参照いただき、まずメカニズムと基本的な対処方法について理解してください。

トラウマによる辛い感情への対処方法

 

 

子どもが自分の様々な感情に気づく

 

トラウマに苦しんでいるお子様は、自分自身の感情に気づくことが難しい場合があります。まずは、自分自身の感情に安心・安全の中で目を向けることが大切です。そのために非常に役立つ本を紹介します。

 

「こころキャラ図鑑」池谷裕二、西東社です。28種類の感情がキャラクター化されて可愛いイラストたっぷりの図鑑になって解説されています。これを読むだけで、楽しく自分の感情に目を向けることができます。

 

大人もしっかりとこの図鑑を読んで子どもに負けないように理解することが大切です。日常会話の中に、「こころキャラ」を登場させて、「今、ママのカナシイラが泣いてる」などとお話しするのも良いと思います。

 

子どもが大人と一緒に自分自身の辛い感情に目を向ける

 

自分の辛い感情を自分自身で受け止められるようになることが、トラウマから影響を抜け出すためには必要です。そして、子どもが自分の辛い感情を自分自身で受け止めるためには、大人にしっかりとそれを受け止めてもらうことが必要です。

 

お子様が「○○が辛かった」とご自身からお話しして、大人から「それは辛かったね」と受け止めてもらうことが大切なのです。しかし、子どもは、自分自身の辛い感情に気づくことや目を向けることそのものが難しいことがほとんどです。ご自分から「○○が辛かった」と話せないのです。

 

そこで、絵本の力を借りて、安心・安全の中でお子様の辛い気持ちに目を向けることをお勧めしたいと思います。その絵本は、「いやな気持ちは、大事な気持ち」大河原美以、日本評論社です。

 

【とげくん】と【にこりん】というキャラクターを通して、自分自身の中の辛い感情に目を向けていくことができるように書かれています。

 

最初は、【とげくん】が暴走してしまい、【にこりん】との間に溝ができてしまいます。しかし、最終的には【とげくん】と【にこりん】は仲良くなります。心の中で辛い感情を切り離してしまわないで、心が全体として生き生きと活動できることが大切だと子どもにも分かりやすく描かれています。

 

お子様と一緒に読む前に、大人が読んで理解しておくことが大切です。

 

 

絵本を読んだ後には、「【とげくん】も大切な気持ちなんだね」「○○ちゃんの心の中には、どんな【とげくん】がいるのかな?」などと温かく話し合ってみることをお勧めします。

 

この記事は、半田一郎(公認心理師、臨床心理士、学校心理士スーパーバイザー)が作成しました。

 

 

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